東京工科大学(八王子市片倉町)が3月7日、自動運転技術を活用したスクールバスの実証運行を始めた。
同大は学生や職員、来訪者のため八王子駅、八王子みなみ野駅の各駅から同大八王子キャンパス間でスクールバスを運行している。今回は同大片柳研究所教授で、「未来モビリティ研究センター」の須田義大センター長が中心となり、自動運転スクールバスの実証運行を始めた。
日野自動車製の小型バス「ポンチョ」をベース車両とし、 自動運転のシステムは須田さんが以前、センター長を務めていた「東京大学生産技術研究所 次世代モビリティ研究センター」が母体の大学発ベンチャー「先進モビリティ」(目黒区)が提供する。
車両には衛星測位システム「GNSS(Global Navigation Satellite System)」、リモートセンシング技術「LiDAR(Light Detection and Ranging)」、慣性センサーなどを搭載した。障害物の検知には人工知能(AI)を用いる。橋の下など衛星測位システムが活用できない場面では、センサーからの情報などを基に自らの位置の推定などを行う技術「SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)」を使う。
自動運転のレベルは運転手が搭乗する「レベル2」。八王子キャンパス~八王子みなみ野駅間のスクールバスのルートを基にしており、1日7本を運行する。教職員が乗車する形で実験を進め、学生や一般客は乗車できない。乗車定員は10人。最高時速は35キロ。
当日は初宿和夫八王子市長や同大の香川豊学長、須田教授らが出席し出発式が行われた。式典後、初宿市長らは実験で使われるバスに乗り込み、キャンパスと八王子みなみ野駅の間を往復する中で須田教授から説明を受けた。
八王子市と同大は昨年10月、「東京工科大学と八王子市とのAI/DX技術を活用した連携に関する協定」を締結。「八王子駅南口集いの拠点 桑都の杜(そうとのもり)」(子安町3)が今秋に開業するのに合わせて、八王子駅と「桑都の杜」、東京工科大学の3カ所を結ぶ自動運転バスの実証運行を行う計画も立てている。
初宿市長は「協定の成果として、今回の実証実験を迎えられたことに感謝している。10万人の学生が学ぶ学園都市・八王子において、最先端のAI技術の社会実装としてスクールバスを活用することは、非常に八王子らしい取り組み。普段利用しているスクールバスが、運転手不足という社会課題の解決に貢献していく姿を見ることは、八王子で学ぶ学生たちにとっても学びが社会実装される具体的な体験となり、非常に大きなメリットがある」と話す。
昨夏に高尾駅北口周辺で行われた東京都による実験でも自動運転バスに試乗した経験がある初宿市長。「半年前に高尾で試乗した時と比べ、ブレーキやアクセルの制御がスムーズになっており技術の進歩を実感した。乗車時には沿道の市民からの注目を集め、うれしく思った。悪天候時への対応など、さらなる技術開発に期待している」と話す。
須田教授は「バスの運転手不足による路線の維持困難や交通空白地帯の発生、高齢者をはじめとする交通弱者の移動手段の確保といった問題を自動運転技術によって解決するのが大きな目的。私たちは休日や春休みなどの長期休暇といったスクールバスが稼働していない空き時間を有効活用する『地域貢献型自動運転バス』を提案している。比較的走行しやすい八王子みなみ野のルートで実証を進め、ゆくゆくは八王子駅、秋にオープンする『桑都の杜』への乗り入れへとつなげたい」と話す。
実証運行は3月14日まで。