八王子の通信機器メーカー「エイビット」(八王子市南町)は6月1日、企業や大学、市民団体などをターゲットにした多目的施設「エイビットスクエア」(同、TEL. 042-655-7355)を開いた。
同施設は地域密着型の人材育成センター。「八王子に知を集結させ、世界に通じるビジネスを生み出そう」と、同社の檜山竹生社長や多摩ニュータウン・長池公園エリアで地域活性化に取り組むNPO法人「フュージョン長池」の富永一夫理事長が中心となり、昨年5月ごろから設立に向けて準備を進めてきた。
目指すのは、地域に即した経営や課題への対応に力を発揮する「ソーシャル・アントレプレナー(地域経営人)」の育成・誘致。周辺地域で働く人や学生、行政関係者などが相互に交流を図ることができる場としての役割も果たす。同社社屋の1・2階部分に、打ち合わせスペースや50~80人規模の講義などが行える多目的ホール、図書館、自習コーナーなどを開設。専属のスタッフが常駐し、ヘルプデスクとしての機能や企業間、企業と学生の間などを結ぶコーディネーターなどとして働く。
通常は同社の展示スペースやミーティングスペースなどとして使うが、事前に申し込むことで一般も利用可能。既に市が50歳以上の人を対象に行っている起業支援プログラム「はちおうじ志民塾」の講義会場としての使用が決まっている。「昨年までは、市の複数の公共施設で開講されていたが、今年度から全講義がエイビットスクエアで開講されることになった」とスタッフの宮代さん。
ただ、利用規約に関してはまだ調整を図っている段階。「初年度はテストマーケティングとして、利用者のご意見などを伺いながら、次年度をめどに内容を確定していきたい」という。
大学などと協力し、インターネットを使ったオンデマンド講義やアーカイブ化なども進めていく。施設内には動画配信サービス「Ustream(ユーストリーム)」のスタジオにもなる「USREAM STUDIO HACHIOJI」を設け、1日に市長などを迎えて行った開所式の模様は、実際にネットを通じてライブ配信した。今後は地下に専用スタジオを設置する計画も進める。「映像系の企業や学生などの皆さんにご活用いただきたい」と宮代さん。