八王子在住の写真家・三井昌志さんが10月3日、今年3月から約半年間にわたって続けてきたバングラデシュの3輪自転車タクシーを使った旅「リキシャで日本一周」を猿江恩寵公園(江東区)で終えた。
三井さんは京都出身の写真家。機械メーカーに勤務後、ベトナム、カンボジア、タイなどのユーラシア各国を放浪。2003年にはその模様をつづったフォトエッセー「アジアの瞳」(スリーエーネットワーク)を出版し、その後、「スマイルプラネット」「この星のはたらきもの」(以上パロル舎)などの写真集を刊行している。
リキシャはバングラデシュを代表する交通手段の一つ。人力タクシーの一種で、3輪自転車の後部に屋根付きの座席を備える。総重量は約100キロ。三井さんはこれまでに1カ月かけてバングラデシュをリキシャで旅行。今年3月にはリキシャを使って国内を縦断しようと東京を出発、徳島に向かった。
徳島から四国に向かい、四国を横断後は本州に戻って九州、沖縄を訪れた。その後は中国、近畿、関東、東北と日本列島を北上し続け、8月9日には日本最北端である北海道・宗谷岬に到達、以降は南下を続けた。自身の展覧会や海外での取材など、途中何度か中断を挟みながらも旅を続け、その模様はブログやツイッターで随時報告。旅の中で出会った人の姿や街の様子を写真とともに伝えてきた。
出発から151日目に当たる今月3日、東京駅を出発地点に山手線を一周する「山手線一周ラストラン」を開始。ブログの読者なども参加し、8時から東京都庁や上野など各地を巡っていった。同公園には15時過ぎに入り、総走行距離約6,600キロに及ぶ長い旅が終了。旅の途中、5円でリキシャに乗ってもらう「5円(ご縁)タクシー」で集まった金額は7万円を大きく超えた。
同公園には30人余りが集い、集まった人たちによるリキシャの体験乗車などが行われた。その際には、たまたま通りがかった日本在住のバングラデシュ人が「坂の多い日本をこれで一周するのはすごい」と驚く場面も。最後に出発後の4月に生まれた愛娘と妻を乗せて公園を一周する「ラストラン」が行われ、みんなでゴールを祝った。
「150日間、本当に苦労もいろいろあったが、最後には皆さんに拍手で迎えてもらって本当に幸せ」と三井さん。「今回の旅については、作品として残したい」という。