陵南会館跡地(八王子市東浅川町)で10月24日、市が天然記念物に指定しているイチョウ並木の剪定(せんてい)などによって集められたギンナンを一般に提供するイベントが行われた。
市内を通る甲州街道の中でも「高尾駅前交差点」~「追分交差点」間の約4キロは1929(昭和4)年、大正天皇の多摩御陵完成に伴って宮内庁がイチョウを植樹した。現在、同区間には約770本のイチョウが植えられており、並木全体が市の天然記念物に指定されている。
道路の維持管理を担当する国土交通省関東地方整備局相武国道事務所が毎年行っている同イベント。1994年から毎年秋に行われており、今年で17回目になる。2008年までは道路上にブルーシートを広げ、木からギンナンを落として拾っていたが、昨年から日頃の作行で集めたギンナンをまとめて提供する形に変えた。
約770本のイチョウのうち、ギンナンがなる雌木は約350本。日ごろ作業に当たっている担当者によると、「ギンナンだけで年間50トンを処理している」という。今回は約5トンのギンナンを、道路維持作業車などトラック2台を使って運搬。市内外から集まった約150人が手袋をはめ、職員がほうきでギンナンの実をビニールシートの上に広げる中、1時間かけてギンナンをビニール袋に詰め持ち帰った。参加者からは「袋の中に入りきらない」「これで袋3つ目」「今日はギンナンパーティー」などの声が上がっていた。
ギンナンの実の落下は今がピーク。これからは黄色く色付いた葉の落葉が始まり、その清掃作業に追われる。同事務所管理第2課長の竹内さんは「並木を守っていくためには、これからも皆さんのご理解と協力が欠かせない」と話す。
【お詫びと訂正】初出時、イチョウ並木の区間を「多摩御陵入口交差点」までとしておりましたが、「追分交差点」付近までの誤りでした。お詫びして訂正いたします。