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東京造形大生デザインの子ども向け椅子を被災地へ-段ボールメーカーと連携

椅子をデザインした中村菜々子さん(左)とタカムラ産業の小木さん(中央)、春日明夫教授(右)

椅子をデザインした中村菜々子さん(左)とタカムラ産業の小木さん(中央)、春日明夫教授(右)

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 東京造形大学(八王子市宇津貫町)に在学する中村菜々子さんがデザインした段ボール製の椅子を東日本大震災の被災地に届けるプロジェクトが現在、進められている。

被災地に寄贈される段ボール製椅子

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 中村さんは現在4年生で、同大学デザイン学科でインダストリアルデザインを専攻。子どもの視点から玩具などのデザインを考える「キッズサイズ・デザイン」を専門とする同大学春日明夫教授のゼミに参加し、同ゼミが昨年8月に東京・吉祥寺で行った展覧会「キッズサイズデザイン展」で発表した作品が今回取り上げられた。

 椅子は家具などを作ることもできる強化段ボール製。子どもが何でも遊びの道具にしてしまうことに着目し、表面には牛などの動物の柄を、裏面には水玉など幾何学模様をデザイン。裏表それぞれで椅子として使うことができるようになっている。それぞれの面には異なる「しっぽ」を取り付けたほか、「自分で落書きできれば」と無地の面のパターンも用意するなど工夫も凝らす。

 今回のプロジェクトは、作品制作の際に段ボールの提供という形で中村さんが協力を得たタカムラ産業(栃木県那須塩原市)からの提案を受けて始まった。「もともとこの作品を製品化できないかと話を進めていたところで今回の震災があり、被災地に送ることはできないかと検討を始めた」と同社相模原工場副工場長の小木さん。その後、大学や中村さんなどの協力も得て話が動き出した。

 作品制作の際にテーマとしているのは、「モノで人を喜ばせる」ことだと中村さん。そのため今回、段ボールを使ったのは子どもにとって扱いやすく軽い点もあるという。「便利なだけでなく、使って楽しくなるという遊び心」。3年生だった昨年4月ごろからデザインを進め、約2週間かけて作品を作り上げた。「制作は全部手作業。計算だけでは出ないところも多く、子どもの膝に当たらないように折り目を作るのが大変だった」と中村さん。作品について、同ゼミを指導する春日教授は「ただデザインをするだけではなく、子どものことを調べたうえで作られたキッズ・サイズデザインの視点がしっかり見られる作品。木や布と同じように土に返るエコの段ボールを使った点もよい」と評価する。

 今回はオリジナルを基に8種類のデザインを同社で製品化。まずは、100セット分を本社がある那須塩原市の商工会などを通じて被災地に送る計画を立てており、早ければ6月中にも寄贈を始める予定。「送った後、中村さんと一緒に現地に行き、実際にどういう感じに使われているのか、などを見ていただこうとも考えている」と小木さん。「今回は人と人のつながりから生まれたもの。作ったものをフォローできるというのは責任の所在を教えるという意味でもいい経験になり、学生にとっては最高の勉強」と春日教授。

 「社会で役立てるのはうれしいことで、広がりを感じる」と中村さん。「卒業制作でも強化段ボールを使って、子どものためになるものを制作していきたい」と意気込む。

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