2018年シーズンからB2リーグに参戦している「東京八王子ビートレインズ」。同チーム広報の協力の下、ホームゲームの開催に合わせ、試合の見どころや選手について紹介していく。今回はその第8弾。
3月2日・3日に行われたホームゲーム「金沢武士団」戦を、106-99、98-88と2連勝で終えたトレインズ。中地区最下位は変わらないが、5位のアースフレンズ東京Zとのゲーム差を6ゲームまで縮めた。
3月8日・9日にエスフォルタアリーナ八王子(八王子市狭間町)で行われるシーズン第25節「香川ファイブアローズ」戦を前に次節の見どころを、チームを率いるTHTマネジメント(八王子市子安町3)広報の望月さんとともに伝える。
第25節の見どころ 八王子ビートレインズ広報・望月舞子
−金沢戦は2連勝で終えました。試合を振り返りいかがですか?
望月 「金沢武士団とは先月対戦しているので、どんなチームか分かっていたことは大きかったです。その時はクリーアンソニー・アーリー選手は欠場していたので、逆に金沢武士団にとっては怖い相手だったかもしれません。1日目は拮抗した展開の中で後半、トレインズが我慢して点差を開かせないようにできたことがよかったです。最後はアーリーの3ポイントで点差を広げ勝利することができました。しかし相手のミスに助けられた部分も多い試合でした。翌日は前日の課題を全員が理解し、序盤から自分たちのバスケットができたことでリードを保ち、勝利することができました。今シーズンは後半で突き放される展開のゲームが多かったですが、我慢すること、後半の入りに集中することでチームとして成長することができているように感じます」
−香川とは今回が初対戦となります。どのようなチームだと分析していますか?
望月 「先週の試合で勝率8割の信州ブレイブウォリアーズに勝利したのが香川ファイブアローズです。経験豊富な外国籍選手が3選手所属しており、試合によって選手起用はさまざまです。トレインズも3人の外国籍選手がいるので、どの選手を起用するかというところも駆け引きだと思います。最下位脱出には絶対に落とせない2戦です。最後まで気持ちを引き締めて臨みたいと思います」
−2月末には公式ユーチューブチャンネルを立ち上げるなど新たな活動も始めていますね。
望月 「ユーチューブの番組では選手のオフコートの部分に迫っています。すでに公開している和田代表と大城選手の試合解説は実際にプレーした大城選手が裏話をたくさんしています。もちろん試合は真剣勝負ですが、40分の中にいろいろなドラマや葛藤、意外な一面もあるので、そういったところを皆さんにお届けしたいと思っています。また亀崎選手の24の質問では普段のインタビューでは聞けないようなことをどんどん質問しています。選手のプライベートも少し覗いて、より親近感のあるチームにしていきたいと思っています。今後も定期的に動画を公開していくので、チャンネル登録をお願いします」
−2週続けてのホームゲームとなります。ブースターの皆さんに向けてメッセージを。
望月 「2日の金沢戦ではファンの皆さんの声に背中を押され、終盤で追いつくことができました。そしてその勢いが翌日もチームに力を与えてくれました。この2日間はトレインズにとって本当に大事なゲームです。そしてホームです。八王子が優勢です。あとは一人でも多くの方の声援が必要です。ぜひご家族、ご友人を誘って会場にお越しください。どうかこの2戦を一緒に戦ってください。会場でお待ちしています」
−ありがとうございました。
毎回、同チームの選手1人に迫り紹介する「Pick up Player(ピックアップ・プレーヤー)」。今回は背番号23・ クリーアンソニー・アーリーに迫る。
兄の影響で5歳からバスケットを始める。幼い頃には野球、サッカー、陸上にも挑戦した。中でも野球とバスケットは秀でるものがあった。しかしどちらかというとバスケットの方が周りからの評価が高かった。高校は推薦を受けて進学。メキメキと才能を伸ばしていった。高校時代にはアメリカの中でトップ100の選手に選ばれるほどの実力をつけていたアーリー。州の決勝戦では50得点を記録した。そして大学を卒業し、NBAプレーヤーとなる。「もちろんNBAに入った時は興奮したけど高校に入学したら卒業を目指すように、バスケットを始めた時からNBAに行くことを目標にしてきた。だからやっと夢と現実が追いついたと思った」と当時を振り返る。
高校や大学では周りの選手との差があり、アーリーは目立つ存在だった。しかしNBAの世界では自分と同じような実力を持つ選手がほとんどで、自分より能力の高い選手も多くいた。そういった環境でプレーできることは本当に素晴らしいことだと感じた。
しかし、NBAという華やかな世界には妬みもある。ある日、銃で撃たれるという事件に遭う。自分の生活スタイルが恨みや妬みを買う一因でもあると思い、この頃から生活スタイルを見直すようになった。夜中に出歩くことを避け、アルコールも控えるようになった。そしてバスケットの練習だけでなく、個人的に柔軟性を高めるトレーニングやケアにも取り組むようになった。
「いろいろな経験をしたが、今でもバスケットだけで生活ができている環境に感謝しているし、それがモチベーションにもなっている。もっと強く、もっと良いプレーヤーになるためにこれからも成長し続けたい」と語るアーリー。
日本に来て3カ月。徐々に日本の生活にも慣れてきた。「日本は好きだよ。自分たちにはもっと勝つことが必要だけど、今のチーム状況は良いと感じている」とアーリーは話す。
幼少期には決して裕福とはいえない環境で育ったアーリー。それでも夢を叶え、大好きなバスケットを続けることができている。自分と似たような環境で育った子どもたちの目標になれるよう、そして再びNBAのコートを目指して、アーリーの戦いはこれからも続く。
写真提供:© TOKYO HACHIOJI BEETRAINS
【東京八王子ビートレインズ】
2012年春にバスケットボールを通じて八王子のまちおこしを目指そうと「東京八王子トレインズ」として結成。2015年には当時の国内リーグ「日本バスケットボール育成リーグ(NBDL)」に加盟。2016年秋からスタートした男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」では、「ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボール(JPBL)」が手掛けるB3リーグに参入した。2017年シーズンは同リーグを優勝で終え、B2・B3リーグ入れ替え戦にも勝利。今シーズンからは「東京八王子ビートレインズ」と名を変え、B2リーグで戦っている。