高尾山薬王院とその周辺で9月13日、「第46回 鳴く虫の王様『カンタン』の声を聞く会」が開催された。主催は八王子観光協会(八王子市旭町)。
カンタンは体長が10~20ミリ、淡褐色の体を持つバッタ目(直翅目)コオロギ科の昆虫。北海道から九州まで幅広く分布し、成虫は夏の終わり頃から鳴き始める。「ルルルル」または「ロロロロ」といった鳴き声が特徴で、主催した同協会によると、その鳴き声が美しくやさしいことから「鳴く虫の王様」と呼ばれているという。カンタンの名前は、そのはかなげな鳴き声と姿から、人生のはかなさを例えた「邯鄲(かんたん)の夢」という中国の故事に由来する。
46回目を数える今回のイベントには70人ほどが参加。初めて参加する人に加え、「このイベントを毎回楽しみにしている」というリピーターまで、中高年を中心に男女を問わず参加者が集まった。
参加者は当日夕方、高尾山薬王院本坊に集合。「虫供養」の焼香と読経が行われた後、薬王院の一室で五穀米、天ぷらなどの精進料理が振る舞われた。その後、昆虫研究家で「日本鳴く虫保存会」会長の小野公男さんがスライドを使ってカンタンの飼育方法や繁殖に当たって苦労した点などを解説。八王子周辺の虫の生態なども詳しく説明された。
小野さんは自らが飼育するカンタンを使って説明。凝った造りの虫籠(かご)なども紹介された。カンタンは会の終了後、抽選で参加者にプレゼントされた。
当日、カンタンの声を聞いた参加者は「和やかな雰囲気の中で虫の声を聞くことができた。他の虫とは違う特徴ある息の長い声で美しかった」と感想を述べた。
同協会は「年中行事として続けて今回で46回目を迎えることができた。これからもこの会を大事にしていきたい」と話す。