東京ビッグサイト(江東区)で3月3日から行われている見本市「JAPAN SHOP 2015」で現在、八王子の地元企業3社が共同開発したフルカラーLEDデジタルサイネージ「PiPit-VISION(ピピットビジョン)」が展示されている。
動画や音声も流すことができる「PiPit-VISION mini」
アトラス広告社(八王子市館町)、ライジングサンコーポレーション(明神町4)、マルヤビル(三崎町)が異業種連合体を組み開発した同製品。日中の屋外で使用できるよう2.5ミリピッチの高精細フルカラーLEDや全天候型ステレオスピーカーなどを搭載する。iOSとAndroid(アンドロイド)向けのアプリ「PiPit-mobile」を使いスマートフォンで撮影した写真や動画などを活用して、だれでも簡単にコンテンツを配信できるようにするなど工夫を凝らしている。
「デジタルサイネージを付けたいという依頼が増えてきたが、既存のものはマニュアルが5~60ページとあって、操作方法もわかりにくいし売りにくい商品だと思った」とアトラス広告社の近藤淳社長。そこで、プライベートでつながりのあるライジングサンコーポレーションの坂本佳子社長やマルヤビルの曾我益巳社長と共に自ら新しいデジタルサイネージを開発しようと動き出した。
開発に入ったのは昨春。筐体の設計開発などをアトラス広告社、システムの開発をライジングサンコーポレーション、コンテンツの制作をマルヤビルのコンテンツデザイン事業部がそれぞれ担当して作業を進めた。
最初のモデルは、サッカーの世界大会「FIFAワールドカップ」のブラジル大会の開幕に合わせて、3カ月ほどかけ作り上げ、マルヤビルの前に設置。「筐体とシステム開発が同時進行だったし、LEDは液晶と違って解像度が特殊なこともあって、いろいろと大変だった」と坂本さん。「テストが出来たのは納品の1週間前。皆さんぼろぼろだったが、うまくいって良かった」と振り返る。
10数年前からビルの前にデジタルサイネージを置きたかったという曾我さん。前から近藤さんに相談を持ちかけていただが、「数千万円するものだったこともあって難しかった」と振り返る。コンテンツの開発にあたっては、LEDパネルの供給元である中国まで出掛け、文字の見え方などを確認するなど苦労もあった。「作りながらフィードバックして、進みながら戻るという感じだったので、現物を見るまで不安はあった」。設置後の反響は大きく、「今では大きなサイネージがあるビルということで、ビルの付加価値も上がった。看板で目立つという目標は達成できたと思う」と評価する。
今回の見本市への出展は全国への販売に向けた第一歩と据えており、「看板の文化を変えたい」と近藤さん。「屋外で使えて、ぬれても平気なデジタルサイネージは多分これしかない。コンテンツの更新は面倒だし、毎月お金をかけられるものでもないので、誰でもスマホで簡単に差し替えられるのもいい。電源さえあればどこでも使えるので、飲食、冠婚葬祭などいろいろなところで使ってほしい」。昨年12月には市内中小企業の新奇性の高い優れた商品を試験的に購入し、販路開拓を支援しようと市が昨年立ち上げた制度「八王子市中小企業新商品開発認定制度」の認定商品にも選定され、「役所や病院など市内のいろいろなところに置いてもらって、地元への還元もできれば」と期待を込める。
会期は6日まで。