大学コンソーシアム八王子(八王子市旭町9)で6月22日、同会が実施している「学生企画事業補助金」の2次審査が行われ、学生が思い思いの事業提案を披露した。
サレジオ高専の学生はヘッドマウントディスプレーを実際に装着して紹介
補助金は同会に加盟している大学・高等専門学校の学生が八王子を舞台にさまざまな事業を企画・運営することを目的に用意しているもの。今年は補助金の総額を昨年の50万円から100万円まで増額。8大学20団体から応募があり、1次審査を通過した7大学10団体が2次審査に挑んだ。
国立東京工業高等専門学校(椚田町)土井研究室からは、山に登る登山者が提出する登山計画書をスマートフォンで簡単にできるようにする「スマート登山者カードシステム」を提案。
遭難者の中では提出率が2割ほどともいわれる登山計画書。現在は手書きしたものを登山道の入り口などに設けられている箱に入れる形式を取っていることが多いが、電子化することで手続きを簡略化するだけでなく、登山者の位置情報の把握や登山者の年齢や性別などのビッグデータの観光などへの活用も図れるという。
今回の事業では、アプリを使っている登山者同士でメッセージを送り合えるようにするほか、携帯電話を電波が弱い地域でも使えるよう山内に無線中継機を展開するなど工夫も図るという。「将来的には登山に関するポータルアプリにして、登山をやろうと思ったら落とすアプリにしたい」と同研究室でプロジェクトに携わる小泉昌也さん。
東京造形大学(宇津貫町)の学生は八王子の伝統工芸品である「多摩織」に着目し、織物を使った親子で楽しめるワークショップを企画。法政大学「@団地」の皆さんは高尾の山裾に位置し、高齢化率が4割を超えるという団地「グリーンヒル寺田」を舞台に空き店舗を学生と地域住民が協力して憩いの場にリフォームする計画を発表した。
サレジオ工業高等専門学校(町田市)の「VR研究会」は、第二次世界大戦中の1945(昭和20)年8月に八王子を襲った「八王子空襲」を、ヘッドマウントディスプレーを使って子どもたちが体験できる仕組みを考案。審査員からは「街並みは現代のようなビルではなく、当時のものを再現してほしい」などの期待を込めた注文が付けられた。創価大学(八王子市丹木町)の学生は地元の米「高月清流米」を地域活性化に生かそうと、くず米を米粉に加工しパンなどにして販売するプロジェクトを発表した。
今回の審査を経て選考された事業については、7月1日から12月31日までの間に実施される予定。