八王子市内を通る甲州街道(国道20号)沿いの商店街「八幡上町商店街くらま会」を中心に現在、明治から昭和にかけての八王子の姿を撮った写真を店の壁や空き店舗のシャッターなどに展示する「おもひで写真街道」が行われている。
1940(昭和25)年ごろから街中の写真を撮り続けている浜中義孝さんをはじめとした市民有志や八王子市郷土資料館の協力を得て、約80点の写真を街中に展示する今回の催し。
展示している写真をまとめた「おもひで写真街道BOOK」を3000部製作し、買い物客に配布。今月30日には八王子工材(八王子市八幡町)前で仮装しながら囃子(はやし)を披露する「ハロウイン仮装お囃子」、31日には八幡上町会館(八幡町)で「昔の八王子を語る会」と題したイベントも開く。
八幡町で創業し、1994年にダイエーに吸収され消滅したスーパーマーケット「忠実屋」のジオラマも新たに製作。現在のグルメシティ八幡町店(八幡町)である「八幡町店」を50分の1のサイズで再現したもので、2014年2月の大雪の際に倒壊した店舗前のアーケードなども見ることができる。「忠実屋はここが発祥。地元の人にとっては愛着がある」とプロジェクトに携わる写真店「桃屋美術」(八幡町)の春日晃さん。
昨秋から今春にかけて行われた「多摩美術大学八王子まちなかにぎわいプロジェクト」で、同写真店を担当した学生による「店の写真を貼り出したらどうか」という提案が発展して実現した今回の催し。八王子在住のイラストレーター・竹永絵里さんも冊子の製作などで協力。街中に統一したフラッグを飾るなど半年がかりで準備を進めてきた。
「これまで秋にがらくた市などのイベントを行ってきたが、その当日だけお客さまが集まって、イベントが終わると人がいない商店街になってしまう。今までとはちょっと違うことをやろうということで、ご年配のお客さまも多いことから、昔の写真を使った企画になった。空き店舗のシャッターが降りていると寂れた商店街というイメージがついてしまうので、そこに飾って見ていただこうかなと思った」と春日さん。
展示されている写真の多くは浜中さんが撮影したもの。「昭和30年代、40年代の写真が多く、八王子がにぎわっていた時を見ていただくことができる。ご年配の方は昔を思い出し、若い方は『こんな街だったんだ』と知っていただければ。反響は大きく、懐かしいと言ってくださる方が多い。写真の前で立ち止まって、お話ししている方もよく見る」とアピールする。
今後も商店街の活性化に向けた取り組みを続けていく方針。「商店街は地域の人に素通りされているだけでは存在価値はない。街のにぎわいを創出していかないと駄目だと思うので、何かやり続けなければ」と意気込む。
催しは今月31日まで。ジオラマは今月19日まで洋品店「イツミヤ」(八幡町)で展示。以降、20日~30日=「桃屋美術」、31日=八幡上町会館に置かれる予定。