1月末に閉館した映画館「ニュー八王子シネマ」(八王子市横山町)で3月25日から、建て替え工事着工を前に、最後の興行となる「さよならニュー八王子シネマ」が行われる。
有志の協力を得て企画された今回の興行。初日となる25日には女優の松坂慶子さんが主演した作品「ベトナムの風に吹かれて」のDVD化を受け、同作を手掛けた大森一樹監督の作品上映やトークイベントを行うほか、21時からは特撮作品「シルバー仮面」を全話上映するオールナイトイベントも実施する。
26日、4月1日・2日にも開催し、2日には2月に博品館劇場(中央区)で行われた舞台「緋色八犬伝」の模様を収録した映像を特別上映。元AKB48の前田亜美さんやHKT48の多田愛佳さんらキャスト陣もゲストとして登場するほか、新人映画監督の作品を紹介する「八王子Short Film映画祭」のセレクション上映なども予定する。
建物としての「ニュー八王子シネマ」に別れを告げるため企画された今回の催し。「建て替え後、シネマ再開の予定はない。70年間、数々の映画を上映してきたニュー八王子シネマの最後の上映イベント」と企画したディーオーエー(渋谷区)の伊藤一貴社長。「異なる配給会社の作品による2本立て、3本立て上映や、ショートフィルム、舞台映像といった映画ではない作品など、これまでの映画興行という枠組みの中では難しかった作品の上映にこだわっている」とも。
機材は以前から同館で使われていたものを使うが、上映を担当していた技師らスタッフは既に退職しているため、今回の催しのために新たに手配しイベントに挑むという。「これまでニュー八王子シネマを知らなかった皆さまにもぜひご来場いただきたい」とアピールする。
八王子駅から徒歩約10分の場所にある同館。1947(昭和22)年の開館以降、独立系映画館として営業していたが、ビルが1964(昭和39)年の完成から52年を経過し老朽化していることから建て替えを理由に閉店。なお、同ビル地下で現在も営業を続けている「CLUB ZONE」も、4月2日に閉店するという。
上映作品の詳細やチケットの販売は同イベント公式ホームページまで。