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閉館した「ニュー八王子シネマ」をアート作品に 地元アーティストがコラボ

ニュー八王子シネマでの撮影を終えたYamamoto Harucaさん(中央)、和田直也さん(右)、鈴木竜馬さん(左)

ニュー八王子シネマでの撮影を終えたYamamoto Harucaさん(中央)、和田直也さん(右)、鈴木竜馬さん(左)

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 1月末に閉館した映画館「ニュー八王子シネマ」(八王子市横山町)を題材としたアートプロジェクトが今春から、地元イラストレーターらの手によって進められている。

スクリーン前で撮影を行う鈴木さん

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 八王子駅から徒歩約10分の場所にある同館。1947(昭和22)年の開館以降、独立系映画館として営業していたが、ビルが1964(昭和39)年の完成から52年を経過し老朽化していることから建て替えを理由に閉店した。

 今回は地元で活動するイラストレーターのYamamoto Harucaさん、グラフィックデザイナーの和田直也さん、カメラマンの鈴木竜馬さんの3人によるアートユニット「“A”team」が同館を題材としたアート作品を作ろうと企画。「普段誰もいないところには実は誰かいるのではないか」をコンセプトとして、鈴木さんが撮った館内の写真をベースに和田さんのディレクションの下、Yamamotoさんがイラストを書き加えていく形で作品を仕上げていく予定。3月28日には映写室やスクリーンなど館内で素材となる写真の撮影が行われた。

 「閉館することを知ってショックだった。すてきな映画館を作品の中に残しておけたらと思った」とYamamotoさん。1月末の閉館後、思いをビルの運営者に伝えたところ快諾が得られたことから実現に向けて動き出したという。

 和田さんは「Yamamotoさんはお客さんとして訪れていたというが、僕や鈴木さんは随分と行っていなかった。そんな状態でもなくなると聞くと信じられなかった。久々に訪れたことで思いがあふれてきた」とした上で、「単館系と違いファミリー層も利用した場所。存在感があるし、込み上げるものをわれわれに与える力がある。八王子にいる人は皆そう感じるんじゃないかと思い、その感情が企画を進める中で肝になっていった。今回の終わりを始まりにしたい」とも。

 現時点では年内の完成を目指して写真集と絵本の両方の性格を持つ本を作ることを目指している。資金面など課題はあるが「僕らみたいに昔お世話になった人たちだけでなく、たまたま八王子に来た人に向けて過去のことを話すきっかけになれば。誰かに話すことであの空間が残る形にしたい。試行錯誤をしながら納得いくものにしたい」と鈴木さん。

 企画の発案者で、これからイラストを描き上げていくYamamotoさんは「自分の力を存分に出したい。妥協はせずに丁寧に、3人が納得できるものを作りたい。作業量の想像はついていないが楽しみでしょうがない」と意気込む。

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