振り袖のレンタルなどを手掛ける「はれのひ 八王子店」(八王子市子安町4)が突如連絡がつかなくなり、1月8日に行われた成人式に大きな影響を与えたことから、地元の呉服店など有志が「八王子成人式プレゼント実行委員会」を立ち上げた。
「きものの西室」(横山町)が主体となって立ち上げられた同プロジェクト。トラブルに巻き込まれた地元の新成人を対象に式典を開催し、晴れ着やヘアメーク、記念撮影などを改めて楽しんでもらおうという思いから企画。現在はツイッターなどで情報発信を進めている。
市からの要請を受け、成人式が行われたオリンパスホール八王子(子安町4)に向かったという同店の西室真希さん。店で晴れ着の着付けをしている最中に連絡が入ったことから会場に駆け付けたという。「自分だけでも急行しようと、着付けをしたお客さまの車に乗せてもらって会場に行った。友人から言われて初めて事件を知った。市が用意した着付け室に泣きながら入ってきた方を見て、これは大変だと思った」と話す。
着付けの先生だという常連客らの力も借りながら振り袖3セットを6人で分け合い、ホールの楽屋で着付けやヘアメークを行ったという。「道具がほとんどない中でよくあそこまでできた」と西室さん。「午前の部に出るはずだった方の着付けの集合時間は4時半。着物を着られるのを楽しみにしていた方がどんな思いで泣きながら帰っていったか考えただけで泣けてくる。胸が張り裂けそう」とも。
今後は地元有志らの協力を得ながら、企画の準備を進めていく方針。同店のフェイスブックページには「式典にも出られず着物も着られず、泣き寝入りをしてしまった方に笑顔を届けたい」とした上で、「成人式当日に裏切ったのも大人。その悲しみから引きずり上げることができるのも大人だと思う」とのメッセージが掲載された。
西室さんは「被害にあったご家族と私どもをつなげてほしい」とした上で、「1人でも多くの20歳の笑顔を取り戻したい。八王子市民の皆さんからの『成人式プレゼント』にご家族でご参加いただけるとうれしい」と協力を呼び掛ける。