日野自動車(日野市日野台3)の「日野チームスガワラ」は10月19日、2019年1月6日から開催されるレース「ダカールラリー2019」への参戦を発表した。
1979(昭和54)年に「パリダカールラリー」としてスタートした同レース。同社は創立50周年を迎えた1991年に、日本のトラックメーカーとして初めて参戦。今年はペルー・ボリビア・アルゼンチンの3カ国にわたって開催された同レースに参戦し、トラック部門総合6位、同部門排気量10リットル未満クラスで優勝。チーム最多となるクラス9連覇を達成した。
2019年の大会は1月17日までの間、南米のペルーで開催される予定。40年の歴史で初めて1カ国での開催となる。首都のリマを出発し、12日にアレキバで休息日を挟んで、再びリマに戻るコースとなっており、総走行距離とステージ数は例年より短縮されるものの、コースの70%が砂漠になるという。
同社はトラック部門に2台の車両で挑むことにしており、今年の同レースを走った車両をベースにサスペンションなどをチューニングした1号車のほか、レースのために新たに開発し、750馬力というパワーと操縦性、安定性などを向上させた新型車も投入する。
参戦にあたり、メカニックを10人に増やすなど2018年の大会からはチームメンバーの強化も図ることにした。ドライバーを務める菅原照仁さんは「厳しいコースになると予想しているので、そこに対してどう戦っていくかチームを整えてきた」と話す。
7月には車両のデータ収集などを目的に、ロシアで行われた「シルクラリー」に参戦。「今までは市販車をベースにしていたが、今回作られた車は初めてレース専用に設計されたもの。レースを勝つためにどういうことが必要かを考えて作られている。素晴らしい手応えでいけると思う」とした上で、「今年は総合6位だったので、総合トップ5は取りたいと思って準備してきた。クラス10連覇もかかっているので、V10を狙ってやっていきたい」とも。
77歳でドライバー兼チーム代表を務める菅原義正さんは、ゴールデンウイークに参戦したオートバイレースで転倒し左足を骨折するアクシデントに見舞われたが、6月に行われたテストドライブには参加するなど驚異的な速度で回復。「手術が終わって3日後からリハビリをし、松葉杖は2回しか使わなかった」。今でもボルトなどが足に入っているが、「焼かれるのも近いしそのままでもいいだろうと思っている」と話し会場の笑いを誘った。
同社の下義生社長は「77歳に見えない元気さで回復も早かった。鉄人。今日みんなでこういう場を迎えられて安心した」と安堵の様子を隠さない。「結構タフなコースだと聞いている。今までの経験など全てをぶつけていただき、上位での完走を期待している」と発破をかけた。