フードバンク八王子(八王子市中町)は1月19日、「引きこもりたい人」の集いの場として「マンガアジト -鬱-」を立ち上げた。
同団体が拠点としているフードバンク八王子ワークス(中町)の営業時間終了後に展開しているもの。学校や職場などと自宅の間のセカンドプレースとして、「ふらっと立ち寄れる場所」をコンセプトに少年漫画や青年漫画など約40種類、1000冊ほどの漫画や自己啓発書、ビジネス書などを用意。一つの作品をテーマに語り合うイベントなども行なっている。
今回は市内の薬局で薬剤師として働く小原一将さんと、藤沢淳司さんのアイデアに共感したフードバンク八王子の國本康浩さんが、スペースの提供などを申し出てスタートした。
30年以上読み続けているほどの漫画好きという小原さんは「漫画がないと生きていけないし、漫画があるスペースを作りたいとずっと思っていた」とした上で、「國本さんにそういったビジョンを話させていただいたら、薬剤師という切り口を使った漫画がある空間を作り、引きこもりの方を対象とする案がまとまった」と話す。
本棚には自身の蔵書を並べており、「書評も付けているので、注目してもらいたいポイントに沿って読んでほしい。しっかりと説明できることがポイントなので、やたらと本を増やしたらいいわけではないが、2000冊を目標に蔵書を増やしたい」とも。
「本来の仕事だと薬を渡して話ができるのは1、2分が限界。それでは健康やメンタルの維持はできないと思いながら何年も働いてきた。こういった場では、普段はリーチできないような問題にも手が届くようになるのでは。健康な方でも眠れなかったりとか、会社ですごく嫌なことがあったり、家に帰りたくない時があると思う。そういうときに気負うことなく寄っていただければ」と呼び掛ける。
パーソナルトレーナーとしても活動しているという藤沢さんは読んで役に立った、読み返したくなるような本としてビジネス書などを選定。「引きこもり方や心に悩みの抱えている方がテーマなので、そういう方にもためになるような、次に進む一歩になるようなものを置かせていただいた」と藤沢さん。トレーニングの指導にも応じる方針で、「私服のままでもできるようなトレーニングをお教えするので、家でやっていただきたい」とも。
日中は就労支援やイベントなどで使われている同所。「夜は基本的に空いているので、そこを有効活用したいということと、店舗とほかの事業者がシェアをすることで新しい起業や事業の在り方があり得ると前々から思い話していた。言うだけではなくてやってみようと思った」と國本さん。「引きこもりたい方の第一の受け皿になれればいい。精神状態に合わせてふらっと来れる場所になれば」と期待を込める。
オープン時間は18時~22時。月曜・火曜定休。