京王線・京王八王子駅近くなどに店を構えるラーメン店「九州らーめん 桜島」(八王子市明神町4)が3月20日、閉店当日を迎えた。
1963(昭和38)年に開店した「桜島」。京王八王子駅近くの「京王店」と八王子駅北口近くに東町店(東町)を展開。ラーメンの上にもやしをのせ、その上にのったオリジナルのみそ自分で溶いて食べる「みそらーめん」やスタミナ丼、ギョーザライスなど、さまざまなメニューを提供していることで知られる。
2月中旬に入り、両店同時に「3月20日で閉店します」と書かれた貼り紙を掲示。「昭和38年から55年間九州らーめん桜島を長年にわたり続けることができ八王子のソウルフードになれました」(原文ママ)とのメッセージも添えられていた。
閉店の報を受け、ネットでは「長年お疲れさまでした」「もう、あのラーメンは食えないのか」「閉店という話しを聞き驚いてる」「なんか泣きそう」「皿洗いなら手伝えます」(以上、原文ママ)など惜しむコメントが多数書き込まれている。
店の前には営業終了時刻である23時直前になっても行列が途絶えることはなく、京王店では23時を過ぎても最後の客が食べ終わるまで営業を続けた。店内では「在庫品」として同店の袋などを自由に持ち帰ることができた。
閉店が決まってから4回食べに行ったという鈴木卓さんは「近いのでランチでよく利用した。ワンコインで食べられるラーメンが魅力で、子どもも好きだったので家族でもちょくちょく食べに行っていた。八王子の街の象徴的な店がなくなってしまうというのは、とても寂しい。八王子のソウルフードと呼ばれるほどのラーメン。それが2店舗とも同時に閉店してしまうというのは、かなりの衝撃だった」と話す。
食べに行った4回とも店はにぎわっていたという。「特に閉店までの5日間の行列はすごかった。それだけ閉店を惜しむファンが多かった証拠。年配の方も多かったので、長い間、八王子市民に愛されてきたソウルフードなんだと改めて感じた。それだけ老若男女に愛されるラーメン店はあまりないのでは。閉店してしまうのはとても残念」と惜しむ。
同じく閉店が決まってから4回食べに行ったという馬場眞由美さんは「私と同じくらいの生い立ち。幼い頃は当時300円のみそがのった桜島ラーメンを3つ出前し、1,000円でお釣りが来たのをしっかり覚えている。母がお金を支払う姿が記憶に残っているということは、よほどの楽しみの一つだったのだと思う」と振り返る。
「具が大きい食べるラー油やキムチ、コーヒーが無料で時間帯によってはデザートも無料だった。今の時代にありえないようなラーメン店。誘った先輩からは『こんなにおいしいのなら、もっと早く誘ってほしかった』と言われた」と話す。「奇跡が起きて、また八王子で『桜島』のラーメンを食べられる日が来たらいい。夢が1つ増えた」とも。
編集部では今回の閉店について同店オーナーに取材を依頼したが、回答は得られなかった。