新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による外出控えの中、3月に入って八王子のさまざまな飲食店が対策を打ち出している。
京王八王子駅近くのレストランバー「SCENE(シーン)」(八王子市明神町4、TEL. 042-645-8888)では、今月10日に「煮込みハンバーグ弁当」「ロールキャベツ、ベシャメルソース弁当」(各1,000円)の提供を開始。このうち、「煮込みハンバーグ弁当」は、200グラムのハンバーグに加え、小比企町に農園を持つ中西ファームから仕入れた野菜を使ったサラダや自家製ピクルス、ゴンファノン(大和田町5)のバケットなどを合わせている。
1日限定20食で販売を始めたところ、多くの予約が寄せられるなど好評だという。マネジャーの吉見直高さんは今回の取り組みについて、「新型コロナウイルスの拡散とともにあっという間に予約帳がキャンセルでまっ白になった。何もしないと30年の『SCENE』の歴史に幕を下ろすことになると思い、すぐにスタッフで話し合い決めた」と話す。同時に「来たくても来れない、ならばお届けすれば良い」と、16種類の料理を重箱に詰めた「フレンチお重」(1万9,800円)の提供も開始した。「皆さまは未知の恐怖と閉塞感の狭間で過ごされているんだと思う」と吉見さん。「やまない雨はない、ウイルスに負けるな」と話し、「早く好きな場所で好きなことできるようになりたい」とも。
八王子駅南口のレストラン「Kitchen ROCCO(キッチン・ロッコ)」(子安町3、TEL 042-649-6323)では、今月からテークアウトメニューの展開をスタート。「八王子ナポリタン」(920円)や人気メニューの「ロッコチキン」、ピザ、サラダなどを持ち帰れるようにした。
店を手掛けるシェフの中野太郎さんは、歓送迎会シーズンにもかかわらず予約が入らないなど、「新型コロナ騒動の影響をダイレクトに受けている」と明かす。オンラインデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」なども活用しているが、「Uber Eatsは提供までの時間がかなりクイックなため内容が限られてしまう」とテークアウトの利便性をアピールする。「反応はあるので、今後伸びてくる可能性は秘めている。キッチン・ロッコの料理を家庭でゆっくりと味わってほしい」と話すも、「店で召し上がっていただいた方がずっとおいしいので、来店を心待ちにしている」とも。
そのほか、古民家ダイニング「となりわ」(横山町)では、期間限定でディナータイムの料理を割引価格で提供する「先行予約チケット」の販売を開始。居酒屋「けいの家」などを展開する開拓使(明神町3)では、「臨時休校に伴う食事のお手伝い」をうたい、グループ各店で持ち帰りメニューを始めたほか、店内混雑によるリスクを避けるため、ランチメニューを16時まで提供する「フレックスランチタイム」や、13時~17時の時間帯で特別メニューを提供する「時差飲み」といった取り組みを始めている。