高尾駅南口から徒歩約3分の場所で2月から、屋台のラーメン店「しゅんやっちゃん」(八王子市初沢町)が営業している。
総菜パンなどを扱う「惣菜ベーカリー&カフェ いなこっぺ」の敷地内に屋台やテーブル席を設け営業している同店。席数は15。「いなこっぺ」のほか、焼き肉店「炭火焼肉 ごしち」(東浅川町)を営む57Group(高尾町)の落合俊哉社長が一念発起し始めた。2月16日から毎週火曜~土曜に店を開き、雨天時や雨天の予報が出された際には休業するスタイルを取っている。
無添加、化学調味料不使用にこだわり、具材は「ごしち」のキッチンを使って全て手作りで用意しているという。基本となるラーメン(650円)などに地元のご当地ラーメンである「八王子ラーメン」の特徴でもあるタマネギやのり、味玉、ホウレン草などをトッピングできる。
もともと移動販売から飲食の世界に飛び込んだという落合さん。「7、8年前から屋台ラーメンの構想はあった。コロナをきっかけに売り上げが下がり、不安も増えていく中、守っていてもしょうがないと思った。新しいことをやる、逆に攻めていこうという気持ちになった」と話す。「この時期に店舗を出すのは難しい。屋台なら換気や密にならないという条件を考えても、むしろ良いんじゃないかと思った。コロナが後押しをしてくれた」とも。
屋台は宮大工だという父親の力を借り仕上げたという。屋台造りは初めてで、「2人で話し合いながら設計図を作り、後はユーチューブで先にやっている人の先行例を見て、ヒントを得ながら造っていった」と落合さん。
メニューについては、「そもそも八王子ラーメンがやりたかった。昔、高尾に『香味屋』という有名な店があって、飲んでいる席で『八王子ラーメンでどこが好きか』という話になると必ず出てくる店だった。店主と知り合いだったこともあり、『やっぱりあのラーメンが食べたい』という仲間の気持ちもくんで、『あのラーメンを作りたいからレシピを教えてくれ』と直談判したところ二つ返事で教えてくれた」と落合さん。
「店主もレシピを詳しくは覚えていなかった。ラーメンのベースを教えてもらって、それを基に今はやっている。無添加、無化調の八王子ラーメンは少ないと思う」と話す。トッピングにホウレン草を選んだのは、落合さん自身がホウレン草好きなことに加え、「SNS時代なので、八王子ラーメンで調べた時にホウレン草が入っていたらすぐに分かるようにするため」と明かす。
「大々的にやるつもりはなかった」として、ホワイトボードに営業開始日を書いて掲げたところ、それがSNSで拡散され話題になったという。落合さんは「そもそもは週3日くらい、気が向いたらやるスタンスでいこうと思っていたのだが、そんなことを言ってられなくなってしまった」と笑う。
リヤカーはもう一台購入してあり、新たな屋台を出す構想も練っているという。「屋台に対して、『懐かしくて良いよね』という考えと『衛生面的にどうなのか』という考えが半分ずつくらい出てくるかと思っていたら、意外にも屋台は良いと言ってくれる人が多い。楽しみにしてくれている人が多いと実感している。お客さんからおでんがあったらいいと言われるし、『屋台=おでん』というところもあるので考えている」と落合さん。
「今、街中に屋台はない。懐かしいものが復活したという気持ちで屋台を楽しんでもらえたら」とアピールする。
営業時間は18時~22時(土曜は23時まで)。