京王線・山田駅近くの「こども食堂 ふくろうはうす」(八王子市小比企町)が現在、新型コロナ禍で困窮する子育て世帯への食料支援を継続するための資金を募っている。
2018(平成30)年夏に八王子市・山田地区で活動を始めた「ふくろうはうす」。一人親世帯や問題を抱えた世帯の親・子どもに向け、昼食や居場所の提供、学習支援などの活動を行ってきた。コロナ禍の中、子ども食堂の開催が難しくなったことから、現在は食料の提供などの支援を続けている。今回、年末年始やクリスマス、冬休みといったイベントが集中する12月の食料支援に向けて9月6日、クラウドファンディングを始めた。
クラウドファンディングサイト「GoodMorning(グッドモーニング)」を利用。目標額は100万円で、目標を達成するかどうかにかかわらず集まった金額が起案者に支払われるオールイン方式を採る。1,000円~10万円までさまざまなコースを用意しており、5,000円以上のコースでは「ふくろうはうす」のオリジナルステッカー、1万円以上のコースでは来年1月に開催を見込む「オンライン活動報告会」へ招待などリターン品を用意する。コースを1,000円から設定したことについて、代表の細田明菜さんは「親1人、子ども2人の3人家族として、1日分を1,000円と算出したから」と話す。
「昨年春に学校が休校になったのに合わせて通常の活動ができなくなった」と細田さん。当時、休校になると給食も出なくなることから、困窮世帯などの子どもたちをターゲットに支援を実施。学校再開後は食料の提供に軸足を移し、現在まで活動を続けている。
「前年度はひとり親世帯だけでなく、コロナで収入が減ってしまった世帯などにも、その時にある野菜やレトルト食品などをお配りしてきた。配布は20世帯くらいからスタートしたが、毎月どんどん数が増えていって、多いときには約90世帯に渡していた」と話す。「公園でも遊べないなど子どもの居場所もなくなってしまった。ちょっとした時間だが、家から出る時間ができて、ここで友達と会うことができたらいいなと思い、昨年の8月には駄菓子屋のコーナーも作った」とも。
今回、クラウドファンディングに踏み切ったことについて、細田さんは「昨年度は(市などの)助成金も頂いてきたが、申請の書類が膨大で、報告書も出さなければいけない。入金も何カ月かたってからになる。その作業に時間を取られて、問題を抱えている皆さんに寄り添う時間が取れなくなることが、自分の中では本末転倒だと思うようになった。そこで本年度はそういったものは受けずに、できるところまで自分たちでやってみようとスタートした。思っていた以上にコロナが長期化してきた。そこで、12月に子どもたちが食べ物がなくて寂しい思いをしないよう、必要な世帯に食品が届けられたらと思い、クラウドファンディングを利用して資金を集めようと思った」と説明する。
開始2日目の今月8日時点で20人、約24万円の支援が寄せられている。「初めての挑戦なので、どういった形になるのか不安も多かったが、たくさんの方に協力してもらえて本当にうれしいし心強い」と細田さん。目標の100万円を超えて支援が集まった場合は、来年1月以降の活動に充てるという。
「子どもの貧困が、皆さんの近くにあるものだとはまだ感じられないかもしれない。昔と違って今の貧困は身なりで分かるようなものは少なく目に見えづらい。普通に見えて大きな問題を抱えている子どもたちは多い。子どもは自分でそこから抜け出すことはできず、どうしても大人の力が必要になる」と細田さん。「将来を担う子どもたちが令和の時代に食に困るなんてほど悲しい話はない。困っている子どもたちの成長の途中でのお手伝いをしてもらえたら。少しでも興味を持ってもらい、子どもたちに接する時間をつくってほしい。何が必要で何をすればいいのか、参加の仕方が分からないという方もすごく多い。今回は資金面ということで支えてもらえたらうれしい」と話す。
支援募集締め切りは10月31日23時59分59秒。