八王子の銭湯「福の湯」(八王子市本町)が9月23日、閉店する。
1955(昭和30)年12月にオープンした同店。八王子に3店ある銭湯のうちの一つで、甲州街道(国道20号)「八日町」交差点近くのみずき通りに店を構える。
8月に入り、同店は「閉店のお知らせ」と書いた張り紙を掲出。「この度、建物・設備などの老朽化のため」閉店すると伝え、「地域の皆さまに支えていただいたことや、ご利用くださいまして、お客さまに心より感謝申し上げます」という言葉も添えた。
閉店の知らせにツイッターには「長い間ありがとうございました」「悲しい」など惜しむ声が書き込まれている。同店店主は「いろいろなことがあって急に廃業することになった」と説明。「経営者の老齢化と設備の老朽化が重なった。別にコロナは関係ない」と話す。閉店後については未定だという。
同じみずき通りに店を構えるカトウ洋品店(八日町)の加藤一詞さんは「銭湯がなくなるのは寂しくもある。災害時などの意味でも重要な拠点だし、地域のコミュニティーや高齢者福祉など広範囲での損失も大きい」と話す。「子どもたちが大きな風呂に他人と一緒に入って学ぶ気遣いやマナーはとても大切な財産になる。私も孫とコロナ前にはよく行ったし、孫も楽しみにしていた」と振り返る。
「後を継ぎたいという人が出てきたので、つなぎ役として動いている。現在も進行中だと思う。熱意が伝わり、後継者として福の湯を再建してもらえるならしっかりと応援はしていく」と加藤さん。「銭湯の果たす役割はとても大きい。働き掛けを受けて行政も協力はしていると聞く。できれば残していきたいと思いつつ、店側の思いと街の思いが重なれば最高」とも。
営業時間は14時~23時30分。金曜定休。