八王子をテーマとした地域情報誌「はちとぴ」が今年で15周年、通算50号を迎えたことを受け、これまでの誌面をまとめた合本の受注販売を行う。
同誌は清水工房(八王子市追分町)の出版事業部門「揺籃(ようらん)社」が2007(平成19)年4月に創刊した。現在は1月に「新風号」、5月に「涼風号」、9月に「清風号」を刊行しており、1月1日に発行した「新風号」をもって通算50号を迎えた。
今回は第1号から最新号までを一冊にまとめた合本を受注生産する。電話や郵便、ファクス、メールなどで申し込みを受け付け、今春以降に配送する予定。
1970年代から情報誌を手掛けていたという同社。1995(平成7)年からは市民記者による情報誌「One Two えいと」を刊行。五十音に沿って「あ」から順にテーマを決め、八王子市内のニュースを伝える季刊誌として、2006(平成18)年に「わ」の号を発行するまで続いたという。
同誌の終刊後、自社独自の情報誌の発行を企画し、「はちとぴ」を創刊した。「ちょっと気になる八王子マガジン」をうたい、自社スタッフが制作している。八王子市内の公共施設や、商店、企業、学校などで無料配布しており、発行部数は最新号で9000部。2016(平成28)年には同誌を支援する「はちとぴサポーターの会」も立ち上がった。
創刊号からしばらく編集を手掛けていた山崎領太郎さんは「第1号は道の駅八王子滝山ができるのに合わせて作ろうと動いた。こんなに続くとは思わなかった。読者が待っていてくれるというのが一番大きな原動力。火を消さずにここまでやってきたのは感慨深い」と話す。
第6号から編集に参加している増沢航さんは「清水工房は印刷会社として八王子に50年以上関わってきた。会社としての営業発信ツールという面もあるが、自費出版や冊子などを作る中で集まってきた八王子の情報を作って終わりにするのではなく、なんらかの形で還元したいという思いがある」と話す。
「速報性のあるメディアではないので、読んで終わりではなく取っておいてもらえるようなものとして作っている」と増沢さん。学校の郷土教育の中でも使われているといい、「50号も続けていると、『はちとぴ』自体が情報の蓄積になっている。『前の号が欲しい』という問い合わせもあるので、50号という節目の今、合本を出すことにした。15年の歴史が分かるような形で見てもらえるはず」とも。
最新号では街の名所や歴史を特集する「わがまち八王子『探訪』シリーズ」として、八王子の中心市街地を紹介した。駅周辺や甲州街道沿いなど散策コースのマップも掲載。地図作りにはこだわっており、「実際に歩けなかったら意味がないので、下調べで街を歩き、地図が完成したら改めて歩いている。使いやすい地図を念頭に置き、手に持って歩くのにベストなものを提示している」と増沢さん。
「わがまち八王子『探訪』シリーズ」は41号からスタートした。「八王子の旧村を地域ごとに紹介できないかと考えた。ちょうど10個あるので、最後となる50号で中心市街地を取り上げることは決めていた」と増沢さん。今後については「街歩きものを望む声を読者から聞くことがある。その声に応えられるようなんらかの形で探訪企画は展開するかも。深く追えるスポットはいくつかあるので、紹介できれば」と話す。
増沢さんは「『はちとぴ』の存在をもっと広く知ってもらい、いろんな形で参加してくれる人がいれば、より内容も充実していけると思う。読者の方がいるからこそ50号まで続けることができた。読者の皆さんの期待に応えられるよう誌面を展開できれば」と意気込む。
合本はA4判、ハードカバー、796ページ。価格は8,000円。注文締め切りは2月28日。