屋外でたき火を囲みながらミーティングや仕事を行う実験的な取り組み「寄合処(よりあいどころ)ひの」が3月24日・25日、日野市・多摩平の森地区A1街区(日野市多摩平3)で行われる。
日野市が主催し、ひの社会教育センター(多摩平3)が運営する今回の企画。JR豊田駅近くにある団地「多摩平の森」内の空き地を使って行う。「屋外型レンタルミーティングスペース」をうたい、チームで利用する「ぺちゃくちゃゾーン」と、個人向けにワーキングスペースを提供する「じっくりゾーン」の2種類を展開する。
「ぺちゃくちゃゾーン」では、たき火台のほか、八王子・恩方地区の間伐材を使ったまきや椅子、毛布などを用意。希望者にはキンコーズ・ジャパン(港区)の協力を得て、議論を可視化するグラフィックレコーディングのプログラムも行う。「じっくりゾーン」は10人分の椅子を用意する。利用に際しては、屋外のため天候に合わせた防寒具や雨具などを用意するよう呼びかけている。
今回は官民連携で新たな居場所を作る実験的な取り組みと位置付ける。生涯学習の事業を手がける同センターでは、野外で活動を行う「ひの自然学校」などを行っており、企画の運営に携わる同センターの寺田達也さんは「四角四面の部屋の中でブレーンストーミングを行うと煮詰まってしまうし、今はコロナ禍で『三密』と言われてミーティングがしたいのにミーティングができなかったりする。オープンエアーの世界ではそれが覆せるのではないか」と話す。
管理人不在で住民が自由に利用し、片付けて帰るアラスカの公営バーベキュー場を見た経験が企画を思いついたきっかけの一つになっているという。「生活の中に密着していることが一つのポイント。日本人のアウトドアの感覚は予定を組んで、エネルギーをかけて遠隔地に行くという少しオーバーなもの。日野の中にも原っぱや水辺はある。身近なところで同じ価値のものが得られることに気づくのも悪くない」とも。
「コンクリートジャングルのような街でも山の地続きで、ドアの一歩向こうはアウトドア。その中で生きていると認識するきっかけにもなる。そういう機会に日常的に触れている人は自然に対して愛着がわき、今話題になっている地球温暖化やマイクロプラスチックの問題、カーボンニュートラルなどの社会課題への関心も高くなるのでは。日野市としても、SDGsの実現や働き方改革、新しい土地の活用法、地域社会の中でどのような新しいイノベーションを生まれるかなどのファクターを寄せ集めたリビングラボとして位置付けている」と寺田さん。
初回は今月11日に行った。「パソコンで仕事をする人もいたし、火を眺めながらぼーっとする人、東京の多摩平でこんなことができるんだということで来た人もいた」と振り返る。今回はミーティングをテーマとしたあくまで実験的な開催だが、寺田さんは「今後はたき火という要素は変わらないものの利用者の目的に合わせて利用形態が七変化していくものになるのが理想。いろいろな意味でイノベーションが起きる場所になれば」と期待を寄せる。
開設時間は、14時~20時。14時~17時、17時~20時の入れ替え制。利用にはウェブサイトからの事前の申し込みが必要で、受け付けは先着順。利用無料。