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高尾ビールと東京薬科大コラボビール第5弾 江戸東京野菜・高倉ダイコン使う

完成したビールを持つ高尾ビールの池田さん

完成したビールを持つ高尾ビールの池田さん

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 東京薬科大学(八王子市堀之内)と高尾ビール(下恩方町)がコラボ開発したクラフトビール「高倉ダイコンから単離した乳酸菌を使ったサワーエール」が6月13日、高尾ビールから発売された。

パッケージには高倉ダイコンを描いた

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 両者は2019年から植物由来の酵母を使って、ビールを造るプロジェクトを展開している。同大キャンパス内に生育する植物や果実から採取した酵母菌を使ったクラフトビール造りを進め、2020年9月に第1弾商品として八王子市の花であるヤマユリの酵母を使ったビールを発表して以来、コラボ商品を造り続けている。

 シリーズ第5弾となる今回は「江戸東京野菜」として認定されている、八王子市高倉町の特産品「高倉ダイコン」を使った。「高倉ダイコン」は、たくあんなどの漬物などに使われている大根で、今回は葉から乳酸菌を取り出し、サワーエールを造った。

 同大生命科学部食品科学研究室では、志賀靖弘助教が中心となり、2016(平成28)年秋から学内のさまざまな植物や果実から酵母を採取。その特性を調べるなどしているほか、八王子産の野菜から乳酸菌を単離する取り組みも進めていたという。乳酸菌を使ったビールは昨年、同大薬用植物園内で栽培された「カラハナソウ」を使ったもの以来、今回が2例目となる。

 高尾ビールの池田周平社長は「製品化するのに当たって、どれから出していくのが面白いか考えた。高倉ダイコンから作った乳酸菌からビールを造ってみたら風味も良かったので選抜された」と話す。今回はサワーエールということで、「爽快感を得たり、リフレッシュしたりするのに酸味はいい。夏で気温が高いときや湿度があってじめじめする時には酸味が強いものは喉に入りやすい。非常に飲みやすいと思う」とも。

 現在、八王子市内で「高倉ダイコン」を作る農家は2軒だけだという。「そうやって高倉ダイコンを残す活動をされているのは尊いこと。われわれ加工業者としては応援せざるを得ない。生産者の方の次の活動につながっていけば。ちょっとずつではあるが1次産業の活性化に役に立てたらいい」と池田さん。

 今回は品質の維持や輸送コストなどの面を考慮して缶ビールとして製造することにした。「今、クラフトビールの世界は缶がトレンド。製缶機の価格もこなれてきたので、缶が主流になりつつある」と池田さん。「造り手としては、素材の良さを引き立てる包装にしたい。フレッシュさが売りのものは缶で製造したい。750ミリリットルなどの大びんは1年、2年とびんの中で長期熟成していくようなものを造っていくことになるのでは」と話す。

 今後に向けビールの原料である麦、ホップ、水と酵母を全て八王子でとれた物でまかなう「100%八王子産材によるビール造り」も検討しているという。池田さんは「素材を全部地元の物でまかなうのは珍しいし難しい。全ての原材料をどこで誰が作ったか説明できるものとして、この地域で生まれた物となれば、シビックプライドが詰まった物になるのでは」と話す。

 350ミリリットル入り。八王子市内を中心とした酒販店のほか、高尾ビールのオンラインショップ(6本パック、4,440円)でも販売する。

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