石森孝志八王子前市長が任期満了に伴う退任を受け、1月26日に市長として最後の記者会見を八王子市役所で行った。
石森前市長は1957(昭和32)年生まれ。八王子市議会議員を3期、東京都議会議員を2期務めた後、2012(平成24)年に第29代八王子市長に就任。これまで3期12年にわたって八王子市を率いた。
今月28日の任期満了を前に記者会見を開いた。石森前市長は「3期12年、本当に世話になった。市長に就任したのは2012年で、その時の公約の一つに『任期は3期12年』を掲げた。3期はしっかり務め、市民のため、街のために全力を尽くしていこうと強い決意と覚悟を持って市政運営に臨んだ。市民の皆さんとの協働とスピード感、結果を求めることは常に意識した」と話す。
「ほぼ全ての公約、思い描いた事業を実現できた12年間だった」と石森前市長。本年度に市が掲げた長期ビジョン「八王子未来デザイン2040」が動き出したこともあり、「ある一定の区切りがついたので、市長を退くことにした」と話す。「多くの方に八王子の市政に関心を持ってもらい、共にまちづくりを進めていただければ」とも。
1期目は八王子駅ビルで営業していた「そごう八王子店」が閉店するのと時を同じくして始まった。石森前市長は「市長に就任したのは八王子から全てのデパートがなくなるタイミングで、市民の皆さんからは八王子駅周辺の整備など、『まちづくりを前に進めて』という声が多かった時期だった」と振り返る。
「とにかく街を変えていくというメッセージを出しながらまちづくりを進めてきた。八王子駅南口の『集いの拠点』の整備など完結していない事業も数多くある。市長になったときにはまるっきり先が見えない状況だったが、それぞれ事業は順調に進んでいる。早く事業が完成できるように願っている」とも。
特に記憶に残っていることについては、2015(平成27)年の中核市への移行を挙げた。「市民サービスの向上にもつながっただろうし、八王子の多彩な資源、魅力を生かしたまちづくりにもつながった。市民の皆さんが八王子に住んでいることへの誇りにも大きく影響したと思う」
「これからは新市長の下、さらに八王子が発展していくことに期待している。『八王子未来デザイン2040』に掲載されている計画は着実に前進してほしい。市長が変わるわけだから、『初宿(しやけ)カラー』を全面に出し、大きな街・八王子のリーダーシップを持って、市政運営を担ってほしい」と新市長に発破をかけた。
今後については、「全然考えていない」とした上で、「市長だと街なかをのんびり歩くこともできなかった。街歩きを中心に八王子の良いところを発見できれば。朝から晩まで歩き回りたい」と話す。
会見終了後、退庁する石森前市長を見送るため市役所玄関前では、花束を贈呈するセレモニーが行われた。多くの市職員が拍手で迎える中、石森前市長が登場すると、市職員のほか支援者や石森前市長の家族が花束を手渡した。花束を受け取った石森前市長は写真撮影に応じた後、出迎えに来た車両に乗り、12年間通った市役所本庁舎を後にした。
今月21日に投開票が行われた八王子市長選挙では、元東京都職員の初宿和夫さんが6万3838票を得て当選した。初宿さんは今月29日、第32代八王子市長に就任した。