居酒屋「けいの家 八王子本店」（八王子市明神町3、TEL 042-649-1724）が1月27日、創業10周年を迎えた。

座敷席も用意する「けいの家 八王子本店」

　「開拓使」（明神町3）が運営する同店。2014（平成26年）1月に創業した「けいの家」の1号店で、八王子をはじめとした地元産野菜に加え、北海道・十勝の「どろぶた」を使ったメニューなど各地の特産品を生かした商品を提供している。席数は座敷など含めて60席。

　10周年に加えて、令和6年能登半島地震被災者支援のため、2月末までの期間限定メニューとして、寒ブリや寒サワラの刺し身などをセットにした「日本海雪割盛り」（2,380円）、飲み放題のコースメニュー「復旧・復興祈願 春よ来い」（6,000円）を用意する。義援金として「日本海雪割盛り」は100円、「復旧・復興祈願 春よ来い」は売り上げの10％を日本赤十字社に寄付する。

　北澤秀彦社長は「あのようなことがあると、屋根がある場所で働けることがありがたいし、明かりや電気がある中で働け、お客さまを迎えられることがありがたいと思った。社会貢献とこれまでの恩返しを含めて、やっていかないといけない。今はまずライフラインの復旧。それが終わったら、長期的にいろいろなことができたらいい」と話す。

　「10年前のオープン直後、八王子で60センチの雪が積もるほどの大雪になった。材料も届かない中、みんなで雪かきをした時に地域の方に助けてもらったことを思い出した。そのありがたさが原点にある。今回は私たちなりの『三方よし』。明るく、面白くしようとすることは店の一つの価値」とも。

　創業前は大手のチェーン店で働き、多摩地域を担当するエリアマネジャーを務めていたという北澤さん。開業前について、「あの頃の八王子の個人店はどこも客が入っていた。自分で店をやるのであれば八王子でやりたいと思った」と振り返る。

　北澤さんが10年間で一番思い出に残っているのはコロナ禍という。当時は座敷の一部を廃止し、代わりにテイクアウト専門店「北藤ファーム」をオープンさせるなど機敏に対応した。「頑張ってきたことが、半年で180度変わってしまった。あの時は2、3カ月ごとにコロコロと事態も変わった。その時にひらめいたアイデアが今はどうかと言われると、なんとも言えない」と北澤さん。

　コロナ禍を経て、地元客が増えたことは良かったという。現在はビジネスユースの利用も増え、「売り上げの規模でいえば、コロナの前と同じところまで戻ってきている。じっくりと腰を据えて飲食を楽しんでもらうスタイルになった。あの時があったから、何があっても今はやるという根性は鍛えられたのかも」と話す。

　同社は、2016（平成28）年に八王子みなみ野、2019年には日野駅前に出店するなど八王子経済圏でさまざまな展開を進めている。「時期が来たら積極的に店を出していきたいという思いはあるが、今は既存店をブラッシュアップするためにお金を使っていこうと考えている」と北澤さん。

　10周年を受け、北澤さんは「面白半分で『駆け出しの老舗』と言っている。この1年はコロナ禍で失ったものを取り返し、ここだったらお客さんがお金を払っても惜しくないと思える店をつくっていかなければいけない。『けいの家』というブランドの価値を1センチでも、1ミリでも上げていけたら」と意気込む。

　営業時間は、11時30分～14時、17時～23時。日曜定休。