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初宿八王子市長、都と比べ「財源ない」 補正予算案取りまとめ危機感あらわ

所感を述べる初宿市長

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 初宿(しやけ)和夫八王子市長が6月3日、6月補正予算案を公表した記者会見で、「八王子市に来て一番切実に感じたのは財源がないこと」と話した。

八王子市役所の外観

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 1月29日に市長に就任した初宿市長。本年度当初予算を「骨格予算」に位置付け、6月の補正予算で自身の選挙公約などを実現するとしていた。

 これまで東京都職員として、財務、建設、教育、コロナ対策などさまざまな分野の事業に携わってきた初宿市長。八王子市の本年度予算総額は同程度の人口がある鳥取県の6月補正後本年度予算総額(約3,668億円)を上回るが、都の予算規模が本年度総額で約16兆円と非常に大きいこともあってか、「東京都から八王子市に来て、一番切実に感じたのは財源がないこと」と話した。

 「市民のために約束したことは実現していかなければならないが、そのための財源が潤沢にあるかといえば、都にいたときの感覚からすると非常に心もとない。財政状況は非常に厳しいと実感した。市長となり職員が給食費無償化の財源の捻出を一生懸命考えているのを見て、中核市とはいえ財源をこれほど工面をするのが難しいとは思わなかった」と初宿市長。

 初宿市長は「このままでは将来、財源不足に陥る可能性がある」とも指摘する。「財源不足が広がっていき『ワニの口が開いていく』のは避けなければならない。職員にはこの3年間で全ての事業の効果を検証し、効果が見られないものは終了すると話している。法で定められているからと見直さず淡々とやっていくのではなく、見直すことでより効率的にできるのではないかという気付きの機会にもなる」と話す。

 初宿市長は都の赤字が膨らみ「財政再建団体」に転落しかけた際の予算編成に携わった経験を引き合いに出し、「今の時点で市の経営はそこまでいってはいないが、このまま放置するなら、かつての都のように『財政再建団体』に転落する恐れがないとはいえない。市の財政を健全にして、市民サービスを継続ができるようなものにしなければならない」と危機感をあらわにした。

 補正予算案の総額は94億1,322万1,000円で、補正後の本年度予算は一般会計、特別会計などを合わせて約4,546億円。住民税非課税世帯などへの臨時特別給付金の支給のほか、学校給食費の無償化、災害時に避難所となる小中学校体育館への空調機の整備、「緊急医療救護所」で使う医薬品の確保、八王子市内への企業立地の推進などの取り組みを進める予算を盛り込んだ。

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