八王子市では8月29日から31日にかけて、台風10号の影響で記録的な大雨となり、市内各地に被害をもたらした。
8月29日に九州に上陸した台風10号。その後、ゆっくりとした速度で進んだことに加え、北日本に停滞していた秋雨前線や太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気の影響もあって、先週末は台風から離れた東海、関東など東日本でも大雨となった。
八王子では、29日から激しい雨となり、地域気象観測システム(アメダス)が1時間に55.5ミリの雨量を記録した時もあった。8月29日6時から9月1日6時までの雨量は421.5ミリで、特に8月30日には6時間で203.0ミリの雨が降り、これは観測史上1位となった。
29日に八王子市内を流れる浅川の水位が上昇したことから、京浜河川事務所と気象庁が「浅川氾濫警戒情報」を発表。30日には東京都と気象庁が八王子市を対象に「土砂災害警戒情報」を発表した。市は同日、該当地域に「警戒レベル4」の避難指示を発令し避難所を開設するなど対応に追われた。
八王子市は8月31日20時時点の市内の被害状況を取りまとめた。戸吹町や初沢町、西片倉など市内6カ所でがけ崩れなどが見られたほか、長房町などで5件の床下浸水があった。床上浸水も八王子駅前にある八王子駅北口地下自由通路(八王子市旭町)など3件あった。冠水は同通路のほか八王子駅北口旭町自転車駐車場、めじろ台駅自転車駐車場など28件あった。
倒木はみなみ野の丘公園や富士見台公園、上柚木公園など10件見られたほか、「八王子市生涯学習センター(通称=クリエイトホール)」(東町)、八王子市中央図書館(千人町)、八王子市郷土資料館(上野町)、「コニカミノルタサイエンスドーム」(八王子市こども科学館、大横町)では雨漏りが起きた。人的被害はなかった。
浅川氾濫警戒情報は30日、土砂災害警戒情報は31日、避難指示は9月1日に解除され、避難所も1日12時をもってすべて閉鎖された。市は「長時間の降雨により土壌が緩んでいる箇所もある」として、引き続き土砂災害への注意を呼びかけている。