
鉄道総合技術研究所(鉄道総研、国分寺市)とJR東日本が3月、中央線・日野-豊田間の営業列車を使って「超電導き電システム」の実証実験を始める。
超電導き電システムは、一定の温度以下で電気抵抗がゼロになる超電導材料で作ったケーブルと冷却装置で構成する。今回は日野から八王子方面に向かう営業列車に超電導ケーブルを使って電気を送る。
鉄道総研によると、これまではケーブルの素材に銅やアルミニウムを使っていたため送電時に電圧降下が起き、特に中央線など直流で動く一般の鉄道路線では変電所の設置間隔を狭く取る必要があったという。新システムでは電圧降下が抑制できるため、変電所の集約化、送電時のエネルギー損失の削減、回生エネルギーの有効活用などが期待できるという。
鉄道総研では、2007(平成19)年から新システムの開発に着手。同研究所の日野土木実験所(日野市大坂上)には、システムを試験的に敷設し送電試験などを行ってきた。2019年8月には実際の車両を走行させる試験を行った。
今回の実験では、実際のダイヤに合わせて複数の列車を運行するのに必要な電力の供給など機能の実証を目的に据える。同研究所広報担当者は「超電導き電システムの課題を抽出していく」と話す。