八王子市郷土資料館(八王子市上野町)で現在、特別展「多摩の古墳」展が開催されている。
古墳時代は3世紀後半から7世紀代までの約400年の間を指すもの。東京近郊では多摩川の下流域に当たる大田区や神奈川県川崎市などから上流にさかのぼる形で遺跡が展開しており、八王子の古墳はその多くが古墳時代末期に当たる7世紀のものだと言われている。
八王子には1963(昭和38)年、中央高速自動車道の建設をきっかけに発掘が開始された宇津木向原遺跡(宇津木町)や1966(昭和41)年の調査の際に約150軒の竪穴式住居が見つかった中田遺跡(中野山王)、横穴式石室が出土した小宮古墳(宇津木町)など、これまでに12基の古墳、4カ所の横穴墓群が確認されている。このほか、多摩ニュータウン地域で古墳時代の住居跡が発見されるなど、八王子周辺には数多くの遺跡が残されている。
「多摩地区では10年ほど前に一度、府中の郷土の森博物館で古墳に関する展示があった。しかし、この10年の間に資料も増えてきたのを受け企画した」と同館学芸員の紺野さん。
八王子のほかにも国立、府中、調布、日野などからも資料を集めた。「これまで古墳として知られていたものの発掘調査が行なわれていなかったり、区画整理などに合わせて発掘されたものが多かったりする」。常設されている資料1点を除き、すべてが今回初めて展示される。「通常は時代ごとだったり、新しく見つかったもので構成したりすることが多いが、多摩地区という地域のくくりで展示していること自体が珍しい」という。
「多摩地区の主要な古墳の出土品を一度に見ることができる機会。ぜひご覧いただきたい」と紺野さん。今月25日と11月14日には学芸員が展示品についての解説を行う企画も。両日とも14時から30分ほどを予定。
開催時間は9時~17時。月曜休館。無料。