沈金師・春日友子さんの個展「沈金師 春日友子展 vol.3『出逢いの春から…』」が現在、八王子駅南口の喫茶店「Coda」(八王子市子安町4)で開かれている。
八王子出身で、地元を拠点に活動する春日さん。石川県立輪島漆芸技術研修所在学中の1999(平成11)年から人間国宝(重要無形文化財保持者)で漆芸家の前史雄さんの下で沈金を学んだ。沈金は刃物で文様を彫り、へこみに漆を刷り込んだ後、金粉や銀粉、色の粉を沈めて模様を描く技法。
これまで春日さんの作品は、フランス・パリの公募展「サロン・ドートンヌ」、国立新美術館(港区)で開かれた「日本・フランス現代美術世界展」などで展示された。個展の開催は2024年以来2年ぶりで、2月28日から行われている。
店内には「サロン・ドートンヌ」でも展示された「己」をはじめ約30点の作品を飾る。ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のキース・リチャーズさんをモチーフにした作品「A MAN」は作品と原画を並べて展示する。原画の公開は今回が初めて。春日さんが沈金の技術を使って装飾を施した箸や名刺入れといった小物も販売する。
「あと2年で沈金に出会って30年になる。ここまで続けてこられたんだなと感慨深いものがある。今回の個展は、30年近く一つのことに向き合ってきたこれまでの歩みを振り返る意味合いもある」と春日さん。「A MAN」の原画公開については、「原画を見てもらった後に沈金を施した現物を見てもらったほうが、もっと深く伝わるのではないかと思った」と話す。
販売している箸は輪島塗、名刺入れは越前塗。2024年の正月に発生した能登半島地震を受け、「勇気を出して工房に電話をしたら、塗りを再開されていた。少しずつでも復興している様子が垣間見えて安心した。作品を自宅で使ってもらうことが復興支援の一助になれば」と春日さん。「伝統工芸は本来、眺めるものではなく日常で使うもの。持ち帰って普段の生活の中で使ってほしい」とも。
同店は夜はバー「Tino」として営業している。「沈金は光の当たる角度によって表情が変わる。夜になると作品一つ一つが浮き上がって見える。昼間に訪れた方も夜に改めて見てもらえると、見え方が変わってより楽しめると思う」と春日さん。
営業時間は、Coda=12時~17時、Tino=18時~22時(土曜は13時~19時)。定休日はCoda=水曜・土曜・日曜、Tino=日曜・月曜。3月28日まで。