首都圏産業活性化協会(八王子市旭町)は4月から、企業が排出する二酸化炭素(CO2)の削減をサポートする事業を始めた。
同会では2008年度から「TAMA環境ものづくり事業」を開始。自然環境の保護をテーマとしたセミナーやパネルディスカッション、環境に優れた技術や製品・取り組みを表彰する「TAMA環境ものづくり大賞」の創設などを5カ年計画で進めている。「本年度のテーマは『CO2削減の促進支援』」と同会環境ものづくり事業担当の関口さん。中小企業には環境への対応にはデメリットが多く、面倒ととらえている企業や、取り組みたいが何をすればよいかわからないところが多いという。「そういった中小企業に対し、成功事例の紹介や削減計画の策定、排出権取引への参加などを呼びかける」。
セミナーなどを通した啓蒙活動や環境に配慮した経営を行った企業を表彰する「環境大賞」などを実施。CO2を排出する権利を市場で売買する排出権取引への参入も目指す。排出権取引はイギリスやアメリカなど海外ではすでに市場が成立しているが、日本では今月20日に制度の創設などを盛り込んだ「温暖化基本法案」が国会で審議入りしたばかり。今回は「中小企業からCO2削減分を買い取ってまとめ、大手企業や取りまとめ機関へ売却するスキームを考えている」と関口さん。
今月23日には「TAMA環境ものづくり研究会」を初めて開催。実際にCO2削減に取り組み、成功したケースと失敗したケースのそれぞれについての事例紹介などを行う。会場は八王子TCビル5階会議室(旭町)。開会は16時。
同会は地域産業の活性化を目的に1998年に誕生。国道16号と圏央道が通り、企業や大学・研究所などが集まっている東京の多摩地区や埼玉県南西部・神奈川県中央部を「技術先進首都圏地域(Technology Advanced Metropolitan Area)」、通称「TAMA」と称して、中小の製造業と大企業といった企業同士や大学・金融機関との連携のサポートなどを行っている。