東京工科大学(八王子市片倉町)メディア学部の学生が制作・演出を手掛けたデジタルサイネージが6月12日~14日、幕張メッセで行われたイベント「デジタルサイネージジャパン2013」で展示された。
同大コンテンツビジネスイノベーション研究室に所属する学生が中心となって取り組んだ今回のコンテンツ。5つの画面とタッチパネルを使うことで、ユーザーに同大の魅力を紹介するものや超大型ディスプレーを生かしたコンテンツなどを出展した。
制作を担当したのは同大4年の山田翔一さんら5人の学生たち。プロジェクトを進めるに当たり、スウェーデンのソフトメーカー「Klocktornet AB」社が開発したデジタルサイネージ向けソフトウエア「DISE」の国内販売などを担当するファン・ファクトリー(宮下町)、台湾のパソコンメーカー「AOPEN」、超大型ディスプレーの開発などで知られる篠田プラズマ(神戸市中央区)などとコラボし、企画から制作、展示当日の渉外対応まで学生がこなした。
企画が動き始めたのは今春。「学校の要望やファン・ファクトリーさんの要望もあったので、それを基に企画に1カ月、制作に1カ月かけた」と山田さん。企業の担当者とやり取りを重ねながら、5月上旬ごろには企画を固め、同月下旬には最初のバージョンの作品を作り上げたという。
制作に当たった5人は以前から付き合いの深い仲間。企画を進める中では体調不良で倒れるメンバーが出るなどトラブルもあったが、映像やデザイン、システムなどそれぞれが自分の得意分野を生かして開発できたという。「ずっと付き合ってきたので、みんなの力量も分かっている」と山田さん。時には大学に泊まり込んで作業を続けたこともあったが、「苦ではなかった」とも。
展示を行った3日間は説明員として会場に赴き、外国人から寄せられる問い合わせなどにも対応。「デジタルサイネージをやっている大学が珍しいこともあるのか問い合わせは多かった」。参加者からの評価は高く、同大が参加した「DISE」ブースは、同イベントの「ベストブースアワード」を受賞。メンバーも、それぞれ「手応えは大きかった」と話す。
今回の出展について、指導に当たった同大講師の吉岡秀樹さんは「ソリューションとして見れば、学生ならではのところもあるかもしれない」としたうえで、実践的な活動ができたと評価。今後も同研究室ではデジタルサイネージを使ったコンテンツ提案を行う方針で、現在は8月に行われる「八王子まつり」での紹介に向けて新たな作品の準備を進めている。「人と人をつないでいくようなサイネージを作りたい」と吉岡さん。「日本人なので、おもてなしの精神を持ったものができれば」と意欲を燃やす。