GEヘルスケア・ジャパン(日野市旭ケ丘4)は9月10日、MRI検査時の騒音を大幅に低減させる新技術「SILENT SCAN(サイレント・スキャン)」を発表した。
磁気の力を使って臓器や血管などを撮影するMRI。脳や脊椎などにできた病変を明確に浮き上がらせることができるため、画像診断に当たって大きな威力を発揮するが、これまでは車のクラクションにも相当する100デシベルを超える騒音の中、患者は機器の中に横たわっている必要があった。「『うるさい、時間がかかる、狭い』と患者にとってフレンドリーではなかったとずっと言われてきた」と同社の川上潤社長兼CEO。
騒音の発生源は本体内部のコイル。電流の流れが切り替わる際に大きく振動することで、100デシベルを超えるノイズを生むという。今回はこの部分に着目し、電流の流れの切り替えを抑えることで低騒音を実現。専用ソフトウエア「Silenz(サイレンツ)」も開発し、従来機器と同等の画像が得られるよう工夫を凝らした。
現在は頭部MRI検査のみを対象としており、その中でも、解剖学的な構造が分かりやすい「T1強調画像」と血管の様子を画像化する「MRA(磁気共鳴血管画像)」の撮影時に使用することが可能。「将来的には頭部以外の領域にも広げていきたい」と同社MRセールス&マーケティング部長の明田さん。
「SILENT SCAN」は、同社製品「Discovery MR750w」「Optima MR450w」に対応しており、既に病院などに導入されたものであっても、1日程度の作業でアップグレードできるという。今月18日からは同技術を搭載した機種の販売も開始。「これまでも音を抑えたものはあったが、今回はそれとは全く違う」と川上社長。騒音がなくなることで、「小児や高齢者への検査もしやすくなるのでは」と期待を込める。