京王電鉄バス(府中市)が10月27日、京王高尾線・高尾山口駅と八王子の中心市街地との間を結ぶ路線バス「高尾山口~京王八王子線」などの運行を始めた。
同日、高尾山口駅隣りに日帰り温浴施設「京王高尾山温泉/極楽湯」をオープンさせるなど高尾山エリアの活性化に取り組んでいる京王グループ。今回、高尾山と中心市街地の間を乗り換えなしで結ぶ「高尾山口~京王八王子線」と、土曜・日曜・祝日の午後限定で運行する「小仏~高尾山口線」の2路線を新たに設定した。
運行に当たっては、高尾山をイメージしたオリジナルデザインのラッピング車両を用意。前面には温泉をほうふつとさせる湯けむりのヘッドマークを取り付けるほか、内装も木目調デザインを採用。降車ボタンには天狗のイラストを付け、ボタンを押した際には、ほら貝の音が鳴るなど工夫を凝らす。「お客さまに楽しんでいただければという遊び心」と同社運輸営業部の担当者。
「小仏~高尾山口線」は小仏峠や高尾三山の一つである景信山の登山などに便利なこともあり、「山登りをされる方がターゲットの路線」と京王電鉄バスの担当者。「下山後にこのバスに乗車いただくことで、『京王高尾山温泉/極楽湯』までスムーズに移動できる」とも。
「高尾山口~京王八王子線」は、京王線・京王八王子駅を出発し、甲州街道(国道20号)を通って高尾山口駅まで向かうもので、平日、土曜・休日ともに高尾山口駅発を1日5本、京王八王子駅発を同6本運行する。
同路線は行政からの強い要望もあり実現したという。「高尾山に来られる方の何%かが中心市街地に降りてくれれば。私たちも長い間、八王子で商売をしているので協力したい」と担当者。運行初日は高尾山口駅まで10人の客を運ぶなど滑り出しは順調だという。
新路線の誕生に「悲願がかなった」と市中心市街地政策課の担当者。「これまでは年間300万人の観光客が八王子をそのまま通り過ぎていたが、直行便ができることで街中に誘導できるようになった。これはチャンス。ただ、単にそれぞれが結びついているだけではだめなので、今後に向けた仕組みもいろいろ考えている。バスを利用することが新しい高尾山登山スタイルの一つになってくれれば」と期待を寄せる。