八王子市が7月1日、都内では初めて身体障がい者などに給付する日常生活用具の一部の品目で、iPadなどのタブレット端末とアプリを選択できるようにした。
身体障がい者が日常生活をより円滑に行えるよう用具を給付する同制度。今回は、ポータブルレコーダー・活字文書読み上げ装置・視覚障がい者用拡大読書器・携帯用会話補助装置のそれぞれにタブレット端末とアプリを追加、また、「情報・通信支援用具」として、10万円を基準にパソコンを支給対象としていたところに、タブレット端末を加えた。
これまでは厚生労働省の告示に従い、一般には普及していない専門用具を対象に給付。例えば、低視力や弱視などで見えづらい人の読書を支援する拡大読書器としては、19万8,000円を基準として専用機が給付されていた。
IT化が進みパソコンやタブレット端末を使ってコミュニケーションを取る人が多くなってきたほか、障がい者向けのアプリも増え、1台の端末で複数の作業をまかなえるようになったこともあり、「障がいをお持ちの方々の団体からICT機器を種目に加えてほしいという声をいただいていたし、昨年の市議会でも、一般質問で議員から日常生活用具にタブレット端末とアプリを追加するべきだと指摘をいただいていた」と市の担当者。
そこで、東京都などとも調整を行い品目を見直し。タブレット端末単体では「日常生活品として一般に普及していないもの」という壁を越えることが難しいため、障がいのある人に便利なアプリもセットに支給することで、条件をクリアできるよう工夫した。「全国的に調査したわけではないので分からないが、都内や近隣市でタブレット端末とアプリをセットで給付しているところは聞いていない」と話す。
今回の見直しを受け、指定の品目については専用機、タブレット端末とアプリのセットのどちらかを選ぶことができるようになる。耐用年数などに違いはあるが、タブレット端末の基準は5万円、アプリを「社会通念上、適当と思われる額」と設定しており、「専用機のほうが高額なので、タブレット端末とアプリのセットを選べるようにしても予算の範囲内」だという。
「新たな制度を構築したわけではない」として市広報等では紹介していないが、八王子市心身障害者福祉センター(八王子市台町2)で行われている障がい別のパソコン講習会の場や、障がい者の関連団体などを通じてアピールしていく方針という。