ホンダが100%出資するサーキット・レジャー施設運営会社「モビリティランド」(三重県鈴鹿市)は2月7日、同社が運営する遊園地「多摩テック」(日野市程久保5)と併設する温泉施設「クア・ガーデン」を9月30日に閉園すると発表した。
多摩テックは1961(昭和36)年にホンダの出資によって開業した遊園地。その後の企業合併などを経て、現在は同社が運営を担当し、国際的なレーシングコースである鈴鹿サーキット(鈴鹿市)やツインリングもてぎ(栃木県茂木町)と並んで、同社の事業の中核を担っていた。
通常の遊園地施設に加え、モータースポーツへの理解や自動車・オートバイの普及を目的に自社で開発したさまざまなアトラクションを設置。クラシックカーを意識したゴーカート「ロードスター」や2人乗りできるオートバイを模したモノレール「スーパースカイライダー」など、モータースポーツと関連するさまざまなアトラクションをラインアップ。F1カーの展示やキッズバイクのレースなど、モータースポーツに関係するイベントにも力を入れていた。
園内に設けられたキャンプ場から温泉がわき出たことから、1994年には温泉施設「クア・ガーデン」を開業。露天風呂やジャグジーなどに加え、フィットネススタジオや温水プールも併設する多目的施設として展開していた。夏には巨大水鉄砲やウオータースライダーなどの施設を併設するプールを営業していたが、昨年は将来のエリア拡充を見込んで、ウオータースライダーエリアの営業を中止していた。
世界的な金融危機に端を発する自動車業界の不況の影響を受けて、ホンダは業績が急速に悪化。既にF1からの撤退や「モトGP」を除くバイクレースからの撤退など、モータースポーツから一定の距離を置くことを発表していた。また、多摩テックも2002年をピークに来場者数が減少。「(創業以来の)理念は当社が運営する鈴鹿サーキット並びにツインリンクもてぎが大きく担うようになった」(同社)。こうしたことから、同施設は既に一定の役割を終えたと判断し、営業終了が決まった。
9月末までは通常通り営業を続けるほか、利用客や地域住民向けに「感謝イベント」を予定する。閉園後については別途、跡地の活用を検討するという。