鉄道イベント「駅長制服で八高線出発式＆八高・川越線の車両を独り占め！ 世界で1枚だけの記念写真撮影！」が3月7日、八王子駅構内で行われる。

八高線のホームで出発式に臨む初宿市長

　八王子市とJR東日本八王子支社（八王子市旭町）が協働し、ふるさと納税の返礼品として新たに設定する今回の企画。八王子駅、運転士や車掌ら乗務員のための施設である「八王子統括センター」と駅構内にある留置線を使って、さまざまな体験イベントを行う。

　参加者は紺色の制服に着替えた上で、点呼や八高線の車内の点検を行う。留置線に向かう車両に乗り込む。その後、さまざまな体験企画を行う。メニューは用意されたものの中から自分で自由に組み立てる「セミオーダー式」。

　ドア開閉、車内警報ブザー、車内放送、緊急時に使用するドアコックや「救済型はしご」などの使用、車両床下確認や特急列車などの車内できっぷを発券する「車内補充券発行機」を扱う乗務員体験、乗務員施設内の見学、八高・川越線の車両撮影などの中から企画を複数選ぶことができる。車両撮影時は今回の企画のために用意するオリジナルヘッドマークや、八高線の全線開通85周年、同90周年の時のヘッドマークなどを装着できる。

　イベント後半では白の駅長制服に着替えた上で、1番線ホーム上で行う八高線の出発式に参加する。参加者は発車に合わせて「出発進行」などの合図を行う。駅構内の巡回や駅長室での記念撮影、イベントの修了式も行う。希望者には飲食店や物販店など複合機能を備えた施設「桑都テラス」（中町）に案内する。

　西室正士八王子駅長は「いろいろな体験を選択できることが大きなポイント。1人のお客さまを乗せて留置線に向かうこともなかなかない。出発式で着る白い制服は特別なことがあったときに着るもので、私も年に1回着ればよいほどの正装のようなもの。運転士や車掌がさまざまな業務の中で、どのような動きをしているのかを知ることは電車が好きな方にとっては良い体験なのでは」と話す。

　JR東日本八王子支社では2021年9月、山梨県甲府市と協働し、JR東日本として初となる、ふるさと納税の体験型返礼品を設定した。今回はこれまでのノウハウを生かし、八王子市の職員と八王子駅の駅員、乗務員らが企画を手がけた。同社が23区を除く東京都内の市町村を対象に、ふるさと納税の体験型返礼品を設定するのは今回が初めて。

　JR東日本八王子支社の氏森毅社長は「八王子駅を舞台にした鉄道体験を八王子市のふるさと納税の返礼に加えてもらえることは本当にありがたい。私たちは鉄道ネットワークを生かした地域社会の発展に貢献していくことがミッションだと考えている。八王子の魅力をふるさと納税というツールを使って発信することで、お役に立てれば。これからも八王子の街を大いに盛り上げていく取り組みをしていきたい」と話す。「地域の皆さんと連携してやるからこそできることがある。鉄道体験と一緒に楽しんでもらえるような企画が考えられたら」とも。

　八王子市は市民による市外へのふるさと納税の寄付のため約4億6,000万円の減収になっているという。初宿和夫八王子市長は「この状況でJR東日本が協力してくれるのはありがたい。八王子駅は八王子の顔。こういったところで協力をいただくことには感謝にたえない。特に最近は体験をする『コト消費』へのニーズが高まっている。私たちからすれば『コト消費』はふるさと納税としての新しい切り口になる。地域の皆さんと市が一緒になって八王子の魅力を作っていく共創として、『コト消費』は一つの答えになる。まさに一義にかなった体験メニューだと思う」と話す。

　1月24日はイベントと同様の形で八高線の出発式が行われ、15時39分八王子発川越行きに合わせて、駅長の制服に着替えた初宿市長が出発の合図を出した。「考えていたより緊張した。着替えの段階からすばらしい体験だと思った。駅長の制服を着るのは初めてだが着替えている間に駅長になっていく気持ちが醸成されていく経験をした。八王子駅で体験できることは貴重。ぜひ申し込んでいただいて、自分にしかないメニューの体験をしていただければ」と初宿市長。

　開催時間は9時～12時30分。要事前申し込み。中学生以上が対象で、18歳未満の場合は保護者の同意が必要。定員は1組で、体験者と同伴者の2人まで。

　料金は1組＝15万円。申し込み受け付けは1月31日12時から、JR東日本が運営するECサイト「JRE MALL ふるさと納税」で行う。