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八王子市が2025年度予算案公表 予防接種の費用補助など新たな取り組みも

予算案を発表する初宿市長

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 八王子市が2月14日、2025年度予算案を公表した。

新年度予算案のコンセプトを説明する初宿市長

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 予算規模は、一般会計が前年度比3.8%増の2,359億円、特別会計が同0.5%増の約1,976億円、下水道など公営企業会計が約242億円、合わせて4,578億3287万円となった。予算案の規模としては過去最大で、総額では前年度と比べて約126億円、2.8%増えた。

 新たな事業として、年長相当の幼児と小学校1・2年生の児童を対象とした三種混合ワクチンの特別接種、小学校6年生から高校1年生相当の男性を対象としたHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種、生後6カ月~13歳未満が対象のインフルエンザワクチン接種のそれぞれについて、市独自の取り組みとして接種費用の補助を始める。

 障害の有無にかかわらず誰もが利用できるインクルーシブ広場を上柚木公園(八王子市上柚木2)に整備する。京王線・京王八王子駅近くの船森公園(明神町4)への公共トイレの整備に向け、多摩地区初の取り組みとしてデザインを公募する。

 夏休み期間中に学童保育所で昼食を提供する取り組みは対象を市内全施設に拡充する。小学校の始業開始前の時間を使って、校庭などを開放し遊びなどに使う「朝の子ども教室」も本年度の市内9校から16校での実施に拡大する。2020年6月に文化庁に認定された日本遺産「霊気満山高尾山 ~人々の祈りが紡ぐ桑都物語~」が、2026年に「日本遺産総括評価・継続審査」の対象となることから、新たな「日本遺産を通じた地域活性化計画」の策定に向けた取り組みも始める。

 八王子への企業誘致に向け、医療・ヘルスケア事業や半導体・デジタル産業、環境関連の企業が八王子市内に事業所を設ける際、最大で1億5,000万円まで支援する「特定産業加算金」の支給を始める。地域公共交通の充実を図るため、八王子市内での自動運転バスの導入を目指した検討会の設置や実証実験を進める。

 「初宿市政」として初の当初予算案は、「すべての人が輝き、やすらげる街へ」をコンセプトにした。「市内経済の成長・発展につながる取り組み」「日本遺産をはじめとする観光資源を活用したにぎわいの創造に向けた取り組み」「八王子市を支える人財の確保・定着・育成を図る取り組み」の3つの柱と、それを支える土台として「市民の安全・安心につながる取り組み」をポイントにした。

 八王子への企業誘致に向け、企業を訪問しプロモーションなどを行ってきた初宿和夫八王子市長は「正直に申し上げると実績はゼロ。しかし、社交辞令かもしれないが、市長として企業訪問をすると、八王子市は本気で企業誘致をしていると相手は受け止めてくれている。市内の事業者も応援してくれており機運は盛り上がってきている。八王子市内にはあまり多くなかったり、市内の事業者にとってプラスになったりするような産業分野に声をかけている。今はゼロから1への産みの苦しみの時。まずは1社を誘致したい」と話す。

 自動運転バスの導入については、「路線バスの減便などを行った事業者には減便をやめてくれないかとお願いしている。減便するのであれば、自動運転で走らせることが可能かも相談している。減便を補うことも難しいのであれば、環境に見合った場所で走行実験をしてもらいたい。八王子では大学などの教育研究機関も連携した形で実証をしたい。可能な限り早く実証実験を終え社会実装していただきたい」と初宿市長。

 新年度予算案について、初宿市長は「市民の方々と共に作った『八王子未来デザイン2040』の実現に向けて取り組むのは当然。ただ、土台となるのは安全と安心。その上でさまざまな施策が展開される。私のカラーとして、安全と安心をベースに『八王子未来デザイン2040』を折り込んだ」と話す。

 同日には2月補正予算案も公表した。新年度に向け、災害時に使う移動式トイレ「トイレカー」の整備、八王子市独自のデジタル地域通貨「桑都(そうと)ペイ」を活用した「子育て世帯物価高騰支援臨時給付金」の支給などの事業を盛り込んだ。

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