
そろはむ(八王子市並木町)が7月1日、「世界最小」とうたうベアリング内蔵けん玉「SG Kendama pico(けん玉ピコ)」の販売を始めた。
ヨーヨーやこま、けん玉など遊ぶために技術を必要とするおもちゃを指す「スキルトイ」を扱い、「ヨーヨーショップスピンギア高円寺店」(杉並区)などを運営する同社。今回はNSKマイクロプレシジョン(千代田区)、金属加工を手がけるミツミ製作所(葛飾区)と共に同製品を開発した。
玉をけん先に刺した状態の高さ=3.19センチ、幅=1.34センチ、重さ=3.4グラムで、競技用けん玉と同様にひものよじれを防ぐため、玉には直径3ミリのボールベアリングを搭載した。そろはむが調査した限りでは、市販のベアリングを内蔵したけん玉としては、玉部分を含めた高さが「世界最小」とうたう。
同社は2018(平成30)年から八王子市内の小学校を巡り、放課後の子どもたちにスキルトイの楽しみ方を紹介する「あそびの出前」と名付けた活動を進めており、活動の終わりには小さなけん玉を使ってパフォーマンスを披露していたという。
市販されていないモデルを使っていたことから今後も活動を続けていくに当たり、新たなけん玉が欲しかったことと、これまで各社とベアリングを使った玩具の開発を行ってきたことを受け、同社の長谷川貴彦社長は「誰もやっていなかったベアリングを使った、世界最小の市販できるけん玉を作ったら良いかなと思い相談を持ちかけた」と話す。
日本けん玉協会が認定する「けん玉道」6段で、さまざまな大会で優勝し、ショーでのパフォーマンスの披露やけん玉の指導にも当たっている、「そろはむ」の田嶋朗さんが開発を主導した。昨年末から動き出し、製品化までには半年ほどかかったという。
田嶋さんは「最低限、使えて遊べるサイズの物でありたいと思った。けん玉競技の世界では、回転数の多い難しい技も連続してできるようになるということで、ベアリングを使うのがメジャーになっている。それをミニチュアで再現したいと思った時、遊べてベアリングも入れられるサイズが今回のサイズだった。これより小さくて難易度が高い物も試作はしたが、いろいろ考えて、この形を落とし所にした」と話す。
製品デザインは同社が販売している競技用けん玉「SG Kendama」シリーズの形を踏襲した。田嶋さんは「けん玉なんてどれも一緒と思われがちだが、各部の膨らみ具合や出っ張り具合など機種ごとに特色がある。スピンギアで販売している競技用モデルとほぼ同じ形状の物を縮尺を変え出したことがポイント。玉にあるベアリングが目で見えるようにするのにもこだわった。普通はゴミが入るので隠すところだが機械チックで格好良い」と話す。
売れ行きは好調で、けん玉愛好者のほか、これまでけん玉に興味がなかった人も購入しているという。「想定よりも注目をいただいている。機械加工が好きな人や精巧なミニチュア製品が好きな人にも注目してもらえるとは想定していなかった。自分が欲しい物を作りたいし共有したいので、これからもけん玉業界の人たちが喜び、驚くような物を作っていけたら」と田嶋さん。
長谷川さんは「NSK、ミツミ製作所とベアリングを使った削り出しのおもちゃというテーマで物を作り続けてきた中、新製品を作ることができた。遊びが好きなメンバーが集まっている会社で、自分が欲しくてみんなも欲しいものを作るという、お客さまと同じ目線でものづくりができたことは良かった」と話す。
「ヨーヨーショップスピンギア」のウェブサイトで販売している。価格は5,500円。