コニカミノルタエムジー(日野市さくら町)は6月から、東日本大震災で被災した地域の医療機関を対象に画像診断システムの無償貸し出しを始めた。
医療機関向けに画像診断システムや診断用医薬品などを開発・生産・販売する同社。デジタルX線画像読み取り装置や超音波画像診断装置、造影剤やがん診断薬などの製品を抱える。
「3月11日の震災によって多くの医療施設で、X線画像診断用の機材が損壊した」とコニカミノルタホールディングス広報・ブランド推進部の北さん。「損壊は免れても、X線フィルム現像機を使用している医療施設では、余震の度に複数の現像用液剤が混ざって使えなくなるという現象が起こった」。断水でもフィルムを現像する際の水洗工程ができなくなるため検査は行えないという。そこで、医療現場の復旧に向けて薬品や水を使用しない装置を貸し出すことを決めた。
今回は貸し出しに向けて、同社の「レジウス」シリーズなどを用意。コンピューターを使って画像処理を行うため、現像のための薬品や水洗作業などが不要となる同シリーズ。撮影した写真はモニターを使って見ることができる。「デジタルシステムとなる事で、診断画像の画質レベルがより安定化し、フィルム現像作業も不要となるため検査に関わる作業効率が大きく改善する」と北さん。「被災地復興支援の一助になるものと予想している」とも。
対象は岩手県、宮城県、福島県、青森県、茨城県、栃木県、千葉県の各県のうち、東日本大震災によって災害救助法が適用された市町村にある、機器が損壊した医療機関。クリニック向けの機器約50台などを合わせて110台程度を用意し、本体に加え、記録用のイメージングプレートや画像表示用のモニター、データ保存サービス、設置費用などを無償で提供する。
貸出期間は利用開始日を起点に災害救助法適用期間内の6カ月間。現時点で既に約40の医療機関から貸し出しの要望が寄せられているという。