UR都市機構(横浜市中区)は現在、試験的に商品化している賃貸住宅「DIY住宅」のモデルルームとして、八王子・南大沢で職員が自分たちの手で模様替えを施した部屋を公開している。
職員が手作業でリフォームを行った多摩ニュータウン南大沢学園二番街
「DIY住宅」が実践されたのは多摩ニュータウン南大沢学園二番街(八王子市上柚木)の一室。首都大学東京南大沢キャンパス(南大沢)のそばに位置する同団地。1994年から同機構が管理しており、住宅数は9棟410戸。多摩ニュータウンの西端に辺り、京王相模原線・南大沢駅やフレンテ南大沢、三井アウトレットパーク多摩南大沢などの商業施設とはペデストリアンデッキを通して接続する。
昨年9月から原状回復義務を原則免除し、居住者が自由に模様替えできるようにした賃貸物件「DIY住宅」を提供している同機構。ニュータウン小山田桜台(町田市)など全国で募集してきたが、「一体何ができるのか、どこまでやっていいのか分からないので借りられないという声が多かった」と同機構東日本賃貸住宅本部の倉上さん。そこで、職員の手で改装を行ってモデルケースとして示す「実践型DIY提案プロジェクト」を立ち上げ、同団地のほか藤沢台第5団地(大阪府富田林市)で進めてきた。
今回は同団地の「DIY住宅」の募集に合わせ模様替えを実施。対象として同団地を選んだことについて、「街そのものがバリアフリーで、安全に駅から来られ、利便施設も多い点が大きい」と倉上さん。子育て層をメーンにしながら、「街として完結しているこういうところで、DIYみたいな形で住宅に手を入れながら過ごしていただくというライフスタイルもあるのでは」と話す。
模様替えを行ったのは1階に設けられている2LDK、75平方メートルの部屋。「住宅のプランニングなどの知識はあるが、手を動かす知識はないのでプロの職人の指導を受けながら行った」と倉上さん。洗面台にはアンティークな棚を設置し、棚板にワックスを塗って艶を出すなど加工をしたほか、脱衣所の床の張り替え、部屋の壁の塗り直し、台所の壁のタイル貼りなど、約1カ月かけてさまざまな作業を実施。その様子は随時ホームページで紹介していった。
居住者が実際に模様替えを行う際には、建物の躯体や配管などの関係から個別に判断が必要だが、「賃貸住宅でも使い勝手を良くして快適に住んでいただきたい」と倉上さん。「住宅が古くなってきた時、私たちの手で全てリノベーションをかけるにはコストもかかる。これからは借りた方が自分でやるという手段もある」。長年住み続ける人も多いことから、「子どもの成長に合わせて壁の色を変えたりするなど、ニーズにあった使い方が賃貸でもできることを広めたい」とも。
同団地での「DIY住宅」の募集は3月中旬ごろから開始。モデルルームは毎週土曜・日曜に公開し、4月末まで対応する予定。