精密板金加工や金型製作などを行うミューテクノ(日野市日野台1)が4月1日、ステンレス製の昆虫など自社開発のオリジナルグッズを販売するネットショップを立ち上げた。
同社は2008年秋のリーマン・ショックの際、モチベーションアップを目的に社内で作品のコンペを実施。金属製の昆虫をはじめ社員から、さまざまな作品が寄せられ、展示会などで披露していたところ、「個人的に欲しいという声が多かった」と同社の磯貝さん。そこで今回、同社オリジナルグッズとしてネット販売に踏み切った。
ショップの立ち上げに向け、1カ月ほど前から準備を進めていたが、「6年間、いろいろと作り続けていたので、どういうものを売っていくかで随分話し合った」という。結果、「昆虫シリーズ」として実寸スケールで作られたステンレス製のセミ(1万500円)のほか、清涼菓子「ミンティア」に対応したタブレットケース(1,890円)、iPhoneをはじめとしたスマートフォン向けスタンド(2,625円)をラインアップした。
「昆虫シリーズ」は溶接や接着は行わず、一枚板を折り曲げることで立体に組み上げており、このため一体ずつ手作業で加工。「細かな切り込みを入れるのも大変。ここにノウハウがある」と磯貝さん。30~40代女性からの注文が多く、「歯科の受付に置きたいという声も頂いた。雑貨として捉えていただいているのかも」と意外な反響に驚きを隠さない。
タブレットケースは清涼菓子「ミンティア」のサイズに合わせており、ピンク、グリーン、パープル、レッドなど発色にこだわったほか、アルミを採用することで加工にも工夫を凝らした。「虹のようなカラフルな感じと、シンプルで長持ちできるものにしたかった」と磯貝さん。スマートフォンスタンドも、スマートフォンを載せた時の角度や充電中のコードの扱いなどに配慮。磯貝さんは「このようなところから金属に興味を持っていただきたい」と話す。
今後はネットだけでなく、雑貨店などへも販路を広げる方針。「日本の工業製品を身近に感じていただきたい」と磯貝さん。「良いものを買ったと思ってもらいたいのは本業と変わらない。そこから、『日本の工業はここまでできるんだ』ということに気付いていただければ」と期待を込める。
1990年創業の同社。試作品の板金加工やプレス機を使った部品の量産など主に企業向けに事業を展開している。