八王子駅近くの西放射線通り商店街(ユーロード)通り沿いにあるコワーキングスペース「8Beat(エイトビート)」(八王子市三崎町)で12月9日、昭島市への移転が予定されている八王子医療刑務所(子安町3)の跡地活用に向けて考える「八王子医療刑務所跡地活用についてのパブリックコメントを語り合う会」が行われた。
八王子駅南口から約800メートルの場所に位置する同刑務所。敷地面積は宿舎と合わせて約5.3ヘクタールあり、2017年以降、昭島市に新設される「(仮称)国際法務総合センター」に移転する計画となっている。同所の跡地活用について、八王子市では専門家による検討会や市民との意見交換会などを経て、11月20日に「八王子医療刑務所移転後用地活用計画(素案)」を公表した。今月1日から、素案へのパブリックコメント受け付けを行っている。
あらためて市民レベルで跡地活用を考える目的で開いたイベント当日は、地元飲食店の経営者から学生まで60人以上が参加し、市が打ち出した素案を受け、新たな活用法や意見など約4時間にわたって議論を繰り広げた。
市がまとめた素案では、跡地に「歴史・郷土ミュージアム」や「みんなの公園」「憩いライブラリ」といった施設を導入するとしている。これを踏まえて、八王子駅周辺の空きテナントを使ったアーティストの作品展など、さまざまプロジェクトを行っている「AKITEN」代表で、市議会議員の及川賢一さんが、アートやデザインを活用したまちづくりのアイデアを出し、議論の口火を切ると、参加者からも「アニメ美術館を作ってはどうか」「野外音楽堂を作るべきだ」「決まるまでは、陸上自衛隊の即応部隊を置いてはどうか」といったような、さまざまな活用案が上がった。
東京造形大学(宇津貫町)の学生らは授業の一環として跡地の活用案を検討したもの発表。今回新たに作り上げた子ども向けの仕事体験施設としての活用案に加え、同大教授らがこれまでの成果として、2012年にとりまとめた医療ツーリズムの拠点として活用案の2つを紹介した。
イベントは、市内の商店主ら有志が集まり行われている「八王子朝市」などを手掛けるNPO法人「E-SMILE」(打越町)の高井智治代表ら有志が集まり企画。「医療刑務所跡地については何度か公聴会が開かれており、そろそろ佳境に近い議案。これを少しでもいいので、みんなで考えたり思いをはせたりする場を作り、一つでも多くのパブリックコメントを出せるきっかけになればと企画した」と高井さん。
素案を読み、高井さんは「よく検討されている」とした上で、行政としては「限界ラインまで検討しているのを感じる。だからこそ、市民の側の企画力や思いの言語化が必要」と話す。「少しでも関心を持って、知って、アクションを起こしていく。こうしたことがこれまで以上に問われていて、そして、これまで以上にやりやすくなっているのを感じる。まず、パブリックコメントを書いてほしい」と訴える。
素案についてのパブリックコメントは1月4日まで、八王子市役所都市総務課で受け付けている。