工学院大学八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く「ソーラーチーム」が11月9日、オーストラリア大陸約3000キロをソーラーカーで縦断した「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)」の参戦報告会を行った。
3回目の参戦となった今回はスピードを競う「チャレンジャークラス」に新型ソーラーカー「Wing」で挑んだ。10月8日、出発地点であるオーストラリア北部のダーウィンをクラス11番目、全体としては15番目にスタート。大会初日に6位まで順位を上げた後は一進一退を繰り返しながらレースを展開。大会6日目にゴール地点であるアデレードに到着し、クラス7位の結果を残した。
報告会は同大新宿キャンパスで行われ、監督を務める同大機械システム工学科の濱根洋人准教授のほか、チームリーダーで同大機械工学専攻修士2年の中川拓朗さんをはじめ学生メンバーも参加。応援大使を務めた女優の足立梨花さんがチームメンバーに送ったビデオメッセージなどが紹介された。
完走できたのは43チーム中17チームと厳しいレースとなった今大会。同チームは大会前、試走中に強風などの影響で車体が転倒。ボディーに大きな穴が開き、ソーラーパネルも破損するなどのアクシデントに見舞われていたことを明らかにした。
部品を日本で作り直し、メンバーが現地まで届けるなど復旧作業に苦労し、1カ月間の滞在期間中、半分を修理に費やすことになったという。「チームメンバーを全員集めて、これからどうするか会議を開いたら、修復して最後まで諦めずにやりとげたいという意思で一致した。すぐに現地での修復作業に取り掛かった。下級生が力を付けていたからこそ、上級生がオーストラリアにいて不在の間でも日本で部品を作り、現地に持ってきてもらうことができた」と中川さん。
レース中もボディーを拭いているところを太陽パネルを冷却していると見られたことから、米国のチームがクレームを付け、ペナルティーも含めコントロールストップで1時間にわたり停車することを求められたり、この影響で出発が遅れた結果、悪天候に見舞われたりしたことも紹介された。
化合物系太陽電池を使ったチームが上位を独占したことについても触れ、「価格が3,000~4,000万円と非常に高価な太陽電池パネルだが、次回大会でもまたトップチームに使われてしまうと非常にレースが苦しくなる」と胸の内を明らかにした。
中川さんは次回大会を見据え、「これからも未来のために人材育成を続けていく。われわれは常に挑戦を続けていく」と意気込む。