工学院大学八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く「ソーラーチーム」が10月13日、オーストラリアで開かれている「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)」のゴール地点であるオーストラリア南部のアデレードに到着し、クラス7位でレースを終えた。
2013年にWSCに初参戦した同チーム。3回目となる今回はスピードを競う「チャレンジャークラス」に新型ソーラーカー「Wing」で参戦。予選の結果を踏まえて今月8日、出発地点であるオーストラリア北部のダーウィンをクラス11番目、全体としては15番目にスタートしていた。
大会初日には、車両点検と太陽光による30分の充電を行うことが義務付けられている最初の「コントロールストップ」であるキャサリン到着までの間に順位を6位に大きく上げるなど、順調な滑り出しを見せた。
以降は一進一退を繰り返しながらレースを展開。途中、悪天候に襲われ苦しい走りを見せる場面もあった。結果、大会6日目の13日15時19分46秒にアデレードに到着。クラス7位、平均時速は63.9キロだった。
同クラスでは、大会5日目にゴールしたオランダの「Nuon Solar Team」、米・ミシガン大学ソーラーカーチーム、ベルギーの「Punch Powertrain Solar Team」がそれぞれ1位~3位に入った。日本勢では、4位の東海大学が最高位だった。
上位3チームはそれぞれ化合物系太陽電池を使用したチームが独占。工学院大学ソーラーチームも採用している、シリコン系太陽電池を使用したチームとしては東海大学がトップ、工学院大学ソーラーチームは4番目という結果になった。
チームリーダーの機械工学専攻・修士2年の中川拓朗さんは「今回のレースは予期せぬトラブルに見舞われ大変なことが多くあった。目標としていた結果には届かなかったが、無事完走することができ安心している。世界大会に向け、メンバーと共に泥臭く無我夢中で作業に取り組んできた。このメンバーでなければ3021キロはを完走することはできなかったと思う」と話す。
監督を務める同大機械システム工学科の濱根洋人准教授は「試走中のアクシデントにより車両が大きく損傷し一時はレース参戦をあきらめることも考えた。今まで何度かWSCに出場しているが、今回はゼロからスタートするくらいの気持ちで学生とともに困難を乗り越え、いくつもの課題を解決しながら無事にレースを終えることができた」。途中、バッテリーがゼロとなる状況が数回あり、ソーラーパネルだけで走行する場面もあったことを明らかにした上で、「改めて自然界のエネルギーの大きさを感じ、また、学生たちが目の前の課題を一つずつ解決し、最後までやり遂げてくれたことを誇りに思う。最高のレースだった」と振り返る。