新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、八王子市内の子ども食堂などが活動休止に追い込まれていることから、「八王子食堂ネットワーク」が3月12日、食品の配布を行う食堂などを「パントリーネットワーク」として紹介した。
2017(平成29)年に子ども食堂や地域食堂を支援する枠組みとして立ち上がった「八王子食堂ネットワーク」。市から子ども支援に関わる業務を受託し、フードバンク事業や就労移行支援事業所「フードバンク八王子ワークス」(八王子市中町)を手掛けるフードバンク八王子(中町)が事務局を務める。窓口となるウェブサイトなどを展開している。
八王子市内の子ども食堂や地域食堂では、市が一時、活動を休止するよう要請したこともあり、今でも再開できていないところが多くある。今回、同ネットワークでは食堂としては活動できないものの食料配布をする用意が整ったところを、食品や調理道具などを収納するパントリーから「一時的なパントリーネットワーク」としてまとめた。
同ネットワークに企画から携わるフードバンク八王子の國本康浩さんは「全校休校になった結果、本当に子どもの居場所が無くなってしまった」と話す。市は今月9日以降、小学3年生までは学校や学童保育所、放課後子ども教室が連携する形で居場所の確保を進めてきたが、「小学4年生以上はどうにもならない。ずっと家にいるしかなく、親が仕事に行けなくなってしまうケースもある。それで収入が減り困っているという話も聞く」とも。
「食堂の中止要請が来て、3月のそれぞれの活動スケジュールはまっ白になってしまった。その後、方針は撤回され、一部は活動を再開したものの多くは再開を模索している状況」と國本さん。「中止になっていることをお客さまは知らない。来た方を手ぶらで帰すのも何だか…ということになり、せめて食品や食材を配れないかとなった。現場ではどうにかしたいという思いがある。そこで、みんなで集まり、何をどこまでできるか話し合った結果、パントリーネットワークに行き着いた」と説明する。
今月12日時点で、ネットワークに参加する20カ所の食堂のうち約3分の1が食材の配布を行うことを決めており、地元のフードバンクや農家などは食材の提供などの面でバックアップに当たる。日々状況が変化していることから、今回の対応はあくまでも「緊急対応」「一時的」とうたう。「やりたいのはみんな山々。来る側が切羽詰まっているから、やる側も切羽詰まっている。ただ、現状できない状態。その中でここまでだったらギリギリできるというところがここ」と國本さん。「緊急時であっても、こういった対応ができることはパブリックな形でしっかりと残していきたい」と意気込む。
12日時点のそれぞれの食堂の活動状況は、フードバンク八王子のホームページで確認できる。