ミュージシャンのファンキー加藤さんが3月19日、石森孝志八王子市長を表敬訪問し、昨年の台風19号の災害義援金を贈った。
昨年10月12日に東海・関東・東北地方などを通過した台風19号。各地で大雨特別警報が発表され、河川の氾濫など甚大な被害をもたらした。八王子では人的被害はなかったものの全壊11件を含む259件の家屋被害のほか、土砂災害=187件、溢水(いっすい)・越水など=71件、道路冠水=94件など爪痕を残した。
加藤さんは台風19号の被害を受けた街を支援しようと、12月16日・17日にライブハウス「MatchVox(マッチボックス)」(八王子市三崎町2)で、チャリティーライブ「八王子エイド」を開催した。料金は「八王子」を意味する「802」から、8,020円に設定。自ら呼び掛けた八王子ゆかりのアーティストに出演を依頼するなど地元色豊かなライブとなった。
ライブには「ファンモン」元メンバーのモン吉さん、「八王子観光PR特使」を務めるバンド「フラチナリズム」、アイドルグループ「BiS」の元メンバーで、女優としても活動するアヤ・エイトプリンスさん、2月に活動を休止した「グッドモーニングアメリカ」の金廣真悟さん、パンクバンド「ニューロティカ」、「KICK THE CAN CREW」のLITTLEさん、ご当地アイドルの「8princess」らが出演。ロックバンド「TOTALFAT」のShun(しゅん)さん、「グッドモーニングアメリカ」のたなしんさん、「マキシマムザホルモン」のダイスケはんさんもイベントサポーターとして参加した。
同ライブの収益から経費を除いたものを八王子など被災地に義援金として提供することにしており、今回、石森孝志八王子市長を表敬訪問した加藤さんは、八王子分として約209万円の義援金の目録と公演中、ステージ上に飾られていた出演者のサイン入りバックドロップを贈った。その後、バックドロップは市役所1階のエントランスに飾られた。
石森市長は「いつも八王子を気にしていただき非常にありがたい。今回の台風で非常に大きな被害を受けたが、大変多くの方にご支援いただいた。音楽をやられている皆さんに集まっていただき、ご支援いただけたことはありがたいし感謝している」と話す。
加藤さんは「八王子にゆかりのあるミュージシャンの皆さんは八王子が大好き」とした上で、「テレビで台風19号の映像を見ながら、早急に八王子で何かやりたいと思った。片っ端から連絡をしたら、その場で『やりましょう』と言ってくれた。トントン拍子で開催できた」とライブ開催までの経緯を石森市長に説明した。加藤さんが「何十年も八王子に住んでいたが、見たことがない映像だった。浅川が氾らんしそうでとにかく驚いた」と話すと、石森市長は「あれだけの雨は八王子でも初めて」と答える場面もあった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、全国各地でライブなどのイベントの中止が相次いでいる。加藤さん自身も4月からの全国ツアーの先行きが読めないことを明かし、「人の心配をしている場合ではなくなってしまったというのが正直なところ。ミュージシャンが窮地に立たされている」と訴える。
ライブ会場となった「MatchVox」も公演の中止が相次いでおり、厳しい状況にあるという。「デビュー前からライブしていた思い出の場所。水面下では落ち着いた段階で『MatchVox』をみんなで支えたいという動きもある」と加藤さん。「(ミュージシャンは)音楽で飯を食べようと考えているような人たちなので、しぶとい。みんなで合言葉のように言っているのは『春は必ず来る』『いつか春は来る』ということ。その時を信じて、今はぐっとこらえ耐え忍んでいる」と思いを明かす。