市内最古の神社として知られる子安神社(八王子市明神町4)が7月限定で、「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」の顔や「アマビエ」などを1つにまとめた御朱印を頒布し話題となっている。
759年に創建されたと伝えられ、祭神として「素戔嗚尊」のほか、「木花開耶姫命(このはなさくやひめ)」などをまつる同神社。八王子駅から徒歩約5分の場所にあり、キツネの仮装をして街を練り歩き、キツネの化粧などをして盛り上がる「八王子きつね祭」や、赤ちゃんが泣き声を競う「泣き相撲」などの催しが行われる場としても親しまれている。
今回は、7月1日から「素戔嗚尊」の顔と、神社にある池の昼夜の姿を描いた3種類の書き置きと、疫病を払うとされる妖怪「アマビエ」のイラストや、疫病を逃れた「蘇民将来(そんみんしょうらい)」の説話を4コマ漫画風にした挟み紙、オリジナルクリアファイルをセットとした期間限定の御朱印を1セット2,000円で頒布。御朱印の写真と合わせて、ネット上で「アマビエ様かわいい」(原文ママ)などと投稿する人が増えている。
禰宜(ねぎ)の松宮秀満さんによると、限定の御朱印はこれまで祭りの際にしか用意していなかったという。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、御朱印のために「1日に1000人、2000人と来てしまうよりかは、1カ月と期間を長くすることで、お越しになる参拝者の方の密をつくらないようにしたのが今回の特徴」と話す。
「素戔嗚尊」の顔は松宮さんが描いたという。「日本人に有名で人気があるし、蘇民将来の中では、素戔嗚尊が自分の力を持って疫病を抑え込んでいる。こんな状況にあるので、疫病退散という思いを込めて描かせていただいた」。頒布を始めて約2週間がたち、「SNSを通じて広がっている。神社が発信するのではなく、参拝者が発信していただけるのは時代だなと思う」とも。
今夏は10年ぶりに神社の池にカルガモが飛来したことも話題になった。7月に入り子どもが生まれ、今月4日には神社から甲州街道(国道20号)などを渡って、浅川に引っ越したことをツイッター上で伝えると、300件を超える「いいね」を集めた。昨夏、池の整備を行ったというが、カルガモが飛来した理由については「分からない」と松宮さん。卵からかえってわずか2日後という川への引っ越しの際には、松宮さんが道路で交通整理を行ったという。「無事に全員たどり着くまでに1時間半くらいかかった。浅川に行くまでに4車線ある大きな通りが2つあり、それを越えたことに多くのコメントをいただいた。来年もぜひ来てほしい」と笑う。
本来であれば、祭りのシーズンを迎えるところだが、「9月に行っている泣き相撲なども今年は自粛させていただく」と松宮さん。「今はお宮参りや安産祈願などでも社殿の中に密をつくらないよう、入れる人数を限定させていただいている」とした上で、「今後どうなっていくか想像はつかないが、やれるだけの対策は取らせていただいている。神社を身近に感じてもらえるようなことを増やしていこうと思っている。来年は気持ちよく来られる環境が整っていると良い」と期待を込める。