東京薬科大学(八王子市堀之内)が8月24日、今秋開催する「TAMAサイエンスフェスティバル in TOYAKU 2020」で、研究成果を発表する中学生・高校生や一般参加者の募集を始めた。
中高生が生命科学全般について研究発表を行う同イベント。今年は11月1日に実施を予定する。通常の研究発表を行う「スタンダードコース」に加え、中学1年~高校1年生を対象とした「研究ビギナーコース」も用意。今年はオンライン会議システムを使って開催することにしており、発表者には5分以内の動画での発表や質疑応答への対応などを求めている。
同イベントは昨年初めて開催。2018(平成30)年10月の「生命科学部25周年記念シンポジウム」に合わせて行われた「高校生ポスター発表会」を、同大の大学祭「東薬祭」に合わせる形でリニューアルした。
実行委員長の藤川雄太助教は「(高校生ポスター発表会は)多くの学校に参加していただき、研究内容もさることながら、高校生の研究に対する熱意や意欲にわれわれ教員も圧倒された」と振り返る。「本学部は、日本で初めて作られた生命科学部として数多くの卒業生を輩出している。生命科学分野に注目した先駆けの学部として、生命科学を志す若者と科学者、若者同士の交流の場を作りたいと考えた。そこで、地域のサイエンス教育に貢献したいという意味も込めて、多摩の名前を取り入れて、『TAMAサイエンスフェスティバル』として新たな開催に至った」と話す。
昨年は2つのコースを合わせて、50以上の発表があった。「普段できない専門家とのディスカッションが盛んに行われ、発表者にとって刺激だったと好意的な意見を数多く頂いた。ビギナーコースを設定したことで、ちゅうちょしていた学生が発表する機会となり、今後の研究の方向性についてアドバイスをもらい、励みとなったとも伺った」。発表者の中には、その後、同大に入学した人もいるという。
今年は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、オンライン開催にした。事前に高校の教員にアンケートを取ったところ、「コロナ禍で学生が研究発表をする場がなく、モチベーションが上がらないとの意見があった。学生のニーズに応えて、発表会の取り組みを継続すべきと考えた」と藤川さん。「熱気に包まれたリアルな発表会が開催できない中、どのようにすべきか検討した。本学も前期は全ての授業、実習をオンラインで取り組んだことから、そのノウハウが蓄積されている。オンラインで開催できない理由はなかった」と説明する。
「オンライン開催の魅力は距離を克服できること。日本全国どこからでも参加できるというのは、これまでの開催形式では想像もできなかったし、僕らもその発想はなかった。日頃関わらない地理的に離れた学校の生徒同士が相互作用することが可能になった」とも。
今回は参加者が全ての発表動画を自由に見られるよう工夫するが、「リアルの発表に比べて熱意が伝わりにくい可能性がある」と指摘する。「自身の研究の熱意を2倍くらいにして発表動画を作成していただけるとよいかと思う。熱意は内容と同じくらいに大事。動画を見た他校の学生や教員が、ディスカッションしてみたいと思うかも」とアドバイスする。
発表を見る一般参加者の募集も同時に行っており、「中高生とその指導教員、生命科学研究に興味を持っている方、そして本学教員が研究を通して交流を深める場。たくさんの応募をお願いしたい」と呼び掛ける。
発表者による演題登録の締め切りは9月18日。一般参加者の登録は10月30日まで。参加無料。