八王子市・多摩市・日野市で7月10日に予定されていた東京2020オリンピック聖火リレーは、公道でのリレー走行の中止が決まった。
春日さんには既にボランティアが着けるTシャツや帽子などが届いていた
都内の聖火リレーは、7月9日~23日の15日間にわたって行われる。「東京都聖火リレー実行委員会」は6月29日、会期中の7月9日~16日に26市で行う聖火リレーは公道走行を中止し、代わりに聖火の到着を祝う式典「セレブレーション」の会場で点火セレモニーを行うことを決めた。
東京都は中止の理由を11日まで「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」が適用されていることや、12日に措置が解除された場合でも直後の公道走行には慎重に対応していく必要があるとする。期間中に島しょ地域で行う聖火リレーは、予定通りに公道走行を行う方向で準備を進めるという。
公道走行の中止が決まった26市でのリレーのうち、10日は、多摩市役所を出発した後、日野市、昭島市と続いて、八王子で聖火リレーを実施。八王子市内に関しては、東浅川町にある「1964年東京オリンピック大会自転車競技記念碑」をスタートし、国道20号(甲州街道)を追分方面に進み、本郷横丁交差点で右折。信松院前交差点まで進んだ後は南大通りに入り、八王子駅南口交差点、子安町3丁目交差点と進み、富士森公園(八王子市台町)へと向かうことになっていた。
公道走行の中止を受け、走行ルートや周辺で行う予定だった交通規制も行わないことになった。セレブレーション会場の富士森公園では、ランナーと関係者による点火セレモニーを行うことから、8日~11日は富士森公園東側駐車場を利用できないという。
石森孝志八王子市長は今回の決定について、「大会組織委員会が定める聖火リレー実施方法の判断基準に基づき、市民の安全を第一に考え、適切に判断されたものと受け止めている」と理解を示した。「聖火ランナーの皆さんや、公道での聖火リレーを楽しみにされていた市民の皆さん、またリレー運営を沿道で支えていただくこととなっていた聖火リレーサポーターの皆さんのお気持ちを考えると、私自身も大変残念ではあるが、セレブレーション会場での点火セレモニーが皆さんの心に残るものとなるように、しっかりと取り組んでいく」と話す。
聖火リレーにボランティアとして関わる予定だった写真店「桃屋美術」(八幡町)の春日晃さんの手元には、当日に着けるTシャツや帽子などが既に届いていたが、今回の公道走行の中止で幻のものとなった。1964(昭和39)年の東京オリンピックを引き合いに出し、「八王子での聖火リレーの写真を何枚か見たことがあり、今回、自分の住んでいる地域を聖火が走るということで楽しみにしていた。公道での聖火リレーが中止になり残念だが、こういう状況では致し方無い」と話す。
17日以降の聖火リレーについては、今後の感染状況などを見極めて、早期に判断するとしている。